新たに例の1.2リットルTSIエンジンを得た『ポロ』は、『ゴルフ』よりも車両重量がだいぶ軽いので、マッチングとしてはゴルフよりも上だと思うが、ポロ同士で比べると、先に導入された1.4リットルの自然吸気エンジン車に対して、予想したほどの差はなかった。
たとえば50km/hから70km/hのような中間加速では、それなりに違いを体感するが、 もっと低いタウンスピード領域における差は、それほど大きくない。
本来はもっと差があるはずだが、日本向けにエコカー減税への適合を図ったがために、実用域のトルク感が薄くなってしまったようだ。
すでに1.4リットルモデルを購入した約5000人のユーザーは、TSIモデルが出たことを恨めしく思っているかもしれないが、コミューター的な使い方がメインであれば、それほど悔やむ必要はないのではと思う。
また、ポロは何と比較するかによって見方の変わってくるクルマ。たとえば同じBセグメント車で比べると、面白味には欠けるが、総合力の高さはさすがのものがある。
しかし、同門のゴルフと比べると、ボディの大きさだけでなく、乗り心地やハンドリング、静粛性など、走りの質感の差は確実に存在する。
ポロのことをゴルフと同等のバリューを小さなボディで実現したクルマのように 評する向きもあるが、個人的にはそんなことはないんじゃないかと思う。
このサイズが好みであればポロでもいいだろうが、価格差で迷っている人には、 「がんばってゴルフを」と薦めたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの編集部員、自動車専門誌の記者を経てフリーランスライターに転身。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と、幅広い守備範囲を自負し、近年はWEB媒体を中心に活動中。