7月4日、IZODインディカー・シリーズ第9戦の決勝が行なわれた。今季シリーズの折り返しとなる戦いの舞台はニューヨーク州西部に位置するワトキンス・グレン・インターナショナル。1周3.3マイル(約5.3km)の常設ロードコースはF1やCan-Am等も開催された長い歴史を誇るサーキットだ。
前日に行なわれた3ステージからなるノックダウン形式の予選で、ポール・ポジションを獲得したのはウィル・パワー(ベリゾン・ペンスキー)。佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー)もファスト6による予選ファイナル・ステージへと進み、IRLでの自己最高位予選5位となるタイムを計測し、決勝レースへの大きな期待が集まった。
アメリカの独立記念日の日曜日、遮るものもない緑に囲まれた広い青空の下、60周を競うレースのグリーン・フラッグが振り下ろされた。レースを制したのはウィル・パワー。パワーはシリーズ3勝目となる勝利を今季2度目となるポール・トゥ・ウィンで飾った。
期待の佐藤琢磨は、スタートでポジションを落としたが、先行するスコット・ディクソンとエリオ・カストロネベスの接触によるピットインがあり4番手へと浮上し、快調にラップを重ねた。
しかし、最初のピット作業が手間取り、6つも順位を下げてしまう。またセカンドセットでのマシンセッティングが噛み合わず、混戦の中団のポジションにあってスピードに乗る走りも叶わず、更には最後のルーティン・ピットでは無線不調により準備が整わない状態でピットイン。再度のピットインを余儀なくされ、同一周回最後尾の17位まで沈んでしまった。しかし最後まで諦めることなく抜き所の少ないコースを果敢に攻め込んだ佐藤は大詰めで2台をテイクオーバー。積極的なドライビングを貫いて15位での完走を果した。
予選14番手からスタートした武藤英紀(Newman/Haas Racing)は、燃料消費を抑えながらハイペースを保って戦い続け、12位でゴールした。
次戦は2週間後の7月18日、カナダ・トロント市街地での戦い。ここからシリーズは13戦までは5戦連続でのロードコース及びストリートコース戦へと突入する。
佐藤琢磨コメント:「序盤は上位で戦うことができましたが、最初のピットストップで後れをとりました。レース中盤に装着したハード・コンパウンドのプライマリー・タイヤでスピードが乗らずに苦労しました。2回目のピットストップは無線での交信で誤解があって、そこでもポジションを大きく落としました」
「レース終盤にはソフト・コンパウンドのタイヤで順位を挽回しましたが、その前までに失ったものが大きすぎました。今回何が悪かったのかを研究し、次のレースにつなげます」
武藤英紀コメント:「スタート時よりふたつ順位を上げてのゴールとなりました。12位という結果は満足のいくものではありませんが、完走できないレースが続いていたので、次以降のレースにつながるものにできたとは思います」
「今日のレースは燃費セーブが重要で、100%の速さで走ったラップはありませんでした。その点では歯がゆいレースでしたが、ライバルの後ろを走っている間に学んだこともありましたし、次のトロントに向けていいステップになったと思います」
ワトキンスグレン戦ハイライト動画