[プリウス プラグインHV エコラン]平均燃費33.7km、価格次第で大きな魅力

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プラトーさとみの風力発電プラントで充電中のプリウスPHV。CO2排出低減に自然エネルギーの活用は不可欠だ
  • プラトーさとみの風力発電プラントで充電中のプリウスPHV。CO2排出低減に自然エネルギーの活用は不可欠だ
  • エコランには厳しい上り坂が続く。
  • パワーゲージを中央以下に抑えようとしたが、上り坂では減速してしまい燃費効率が悪く結果的には失敗。
  • 山道を駆け上がるプリウスPHV。ウィンドウを開け、エアコンによる電力消費を抑える。
  • プリウスPHVは電池残量がなくなると、自動的にエンジンがかかりハイブリッド走行となる。
  • 風力発電設備のあるプラトーさとみで充電をおこなうプリウスPHV。

自動車ポータルサイト「GAZOO」が紹介する田舎ドライブスポット「ガズームラ」のひとつ、茨城県北部の里美で、トヨタ自動車が昨年リース販売を開始したプラグインハイブリッドカー『プリウスPHV』のマスコミ対抗エコラン大会が行われた。

チームレスポンスは、第1のタスクである約27kmあまりのオリエンテーリングコースを、エンジンを一度もかけずにバッテリーの電力のみで走破することに成功。エネルギー回収に細心の注意を払い、ゴール時のEV走行可能距離の残量は0.7km、10チーム中トップとなった。

第2のタスクは、スタート地点である里美ふれあい館を出発して標高800mの里美牧場「プラトーさとみ」内に設置されたウインドファーム(風力発電グリッド)までの約12km、標高差約600mを一気に駆け上がるという、エコランには厳しいコースだ。

電池残量は0.7km分のまま充電なしで里美ふれあい館を出発、緩い上り坂を数百m走ったところでエンジンがかかる。プリウスPHVはノーマルのプリウスと異なり、任意にバッテリーの電力のみで走れるEV走行スイッチが装備されておらず、EV走行が終了した後はハイブリッドモードに固定される。

国道349号線から里美牧場に向かう茨城県道245号線に入ると、にわかに勾配がきつくなる。勾配を登り切ったときの走行距離12km、標高差600mとすると、平均勾配は50パーミル(1000mごとに50m登る)。碓氷峠の旧道を駆け上るよりもきつい計算だ。

インパネ内の平均燃費計は最初、EV走行のみだったオリエンテーリングステージの貯金で「99.9km/リットル」を指していたが、急勾配にさしかかるあたりから急速に下がりはじめた。プリウスのインパネ内に、どのくらいのパワーを使っているかを示すハイブリッドシステムインジケーターを表示させ、レベルゲージがなるべく半分を超えないように走ったのだが、この判断は結果的には失敗であった。

平坦路の巡航時は徹底的にスロットルを絞ってエンジンを停めたほうが燃費がいいのだが、急勾配ではエンジンは常時作動するため、レベルゲージにこだわりすぎると車速が極端に落ち、エネルギー効率はかえって落ちてしまうのだ。

頂上に辿り着いたときの平均燃費は33.7kmで、第1タスク終了時に首位であった順位は、10メディア中3位に転落。とはいえ、急勾配を含むコースを40kmほど走ってガソリン消費量がわずか1リットルあまりというのは新鮮な数字だ。

プリウスPHV、価格が高ければ存在意義は薄れるが、ノーマルのプリウスとの価格差をごく小さくすることができれば、EV走行時の快適性の高さとあいまって、一般ユーザーにとっても楽しみなクルマになると言えそうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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