ステキ過ぎるセダンである。『XF』には“不採用”だったショーカーのイメージを具現化したヘッドランプが何しろイイ。伸びやかなサイドビューも、5135mmの全長と3030mmホイールベースを生かし切っている。
ただCピラーのブラックアウトは好みが分かれる。サイドの窓枠のクロームがあるのだから、ボディ色のほうが自然かもしれない(とくにボディ色が淡色の場合)。アルミボディだから、ドアを閉めるとパン!と独特の乾いた音がたつ。室内も先進的でメーターは実物ではなく“画像”。指針の陰影が描写され3D感が増せばばさらにリアルだろう。
居住空間は前後とも心地いい包まれ感で、後席(意外にも頭上は余裕)の身体をピタリと支えるシェイプが秀逸。オーディオも解像度の高いかなり上等な音質。385ps/515Nmの5リットルV8は、100km/h時は6速で1500rpmを切るほどの余裕ぶりで、回転を上げると控えめだがしっかりと骨太なサウンドを響かせる。
ブレーキング時も含めフラットライドも魅力で、19インチのピレリPゼロが快適な乗り味を提供。なめらかなステアリング操作が似合う点は、『XJ』の伝統を受け継いでいる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。