【D視点】フロイトも納得?…BMW X1

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偉さのシンボル

2009年フランクフルトモーターショーでワールドプレミアされたBMWの新型クロスオーバーSUV『X1』が、日本にも上陸した。BMWではクロスオーバーSUVをSAV=スポーツ・アクティビティ・ビークルと呼ぶ。

ボディサイズは、全長4470mm×全幅1800mm×全高1545mm。コンパクトなサイズと、日本で一般の機械式駐車場に入れる車高が、アピールポイントだ。

BMW共通の「省エネルギー、高性能」をコンセプトとし、可変バルブシステム、ブレーキエネルギー回生システム、そして、優れたエアロダイナミクス等、革新的ではないが信頼度の高い技術でまとめられている。2リットル4気筒エンジンの2駆仕様と、3リットル直6気筒エンジンの4駆仕様が用意されており、車両価格は363万 - 480万円。

Xシリーズの末弟X1は、クロスオーバーSUV然とした『X3』のデザインから決別し、『X6』と同様の乗用車的なデザインに挑戦している。ロングノーズとBMWの新世代デザインのフロントマスクは、2代目『Z4』と同じくクラシックスポーツを志向している。

勇み足もある。初代Z4のサイドのU字型のプレスラインと似た、スピード感を狙ったラインのデザインは煩雑だ。ロングノーズもSUVとしてはバランスを崩している。しかしロングノーズは、精神分析学者ジークムント・フロイトによると「偉さのシンボル」なので、お買い得感のあるプライスと相まって、競合他社の脅威になりそう。


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クロスオーバーSUVを変えたデザイン戦略

2008年末の2代目Z4から始まったBMWの新世代デザインは、X6、5代目『7シリーズ』、そして6代目『5シリーズ』に続き、X1にも展開されている。尖ったところを丸めたようなデザインは保守的にも見えるが、先代の革新的なデザインの熟成を図ることで、新たなテイストとなっている。

革新の次に保守が来るのは、理屈にかなう。保守的で中身の濃そうなデザインはBMWに似合っており、販売も好調のようだ。ただし新世代デザインはクロスオーバーSUVもラインアップに組み込んでいるため、展開が難しくなっている。

本来クロスオーバーSUVは、乗用車と違った頑丈さがアピールポイントなのだが、その乗用車と統一したデザインアイコンがあることが、デザイナーに困難を強いているようだ。従来のクロスオーバーSUVには無いデザインのX6や、X1を生んだのは良いが、デザインの未消化を感じさせるところもある。

BMWのクロスオーバーSUVでは、モデルサイクルの差により、旧世代デザインのX3、『X5』のグループと、新世代デザインのX6、X1のグループとが混在しており新旧を見比べるとよい。ユーザーにとって、アラカルト料理を選ぶようにモデルを選択できる。


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ブランドとデザイン

カーメーカーが神経を使うデザイン戦略の効用を、ブランドの視点から考察してみる。デザイン戦略は、メーカー名、或いは固有のデザインから、商品の出所の確かさ(サービス、商品の質等)や、同じジャンルの他の商品に対して優位性を持つことを、ユーザーに理解させるのが主な目的となっている。メーカーがブランドやデザインアイデンティティの確立、維持に腐心するのも、このような効果を期待してのことなのだ。

昔、ヨーロッパでは、放牧している家畜に、自らの所有物であることを示す独自の焼印を押していた。北ゲルマン語祖語の「焼印」が、「ブランド」という言葉になったと言われている。やがて、ブランドは「識別するための印」の意味を持つようになった。

企業が様々な商品価値を織り込んだ商品を販売しても、ユーザーがその価値を正しく解読するとは限らない。ブランドとは、開発した商品が、企業の狙いをユーザーに正しく伝えるための印なのだ。BMWの円の中央を十字に4等分し、青と白に塗り分けたエンブレムや、腎臓の形をしたキドニーグリルは、広く認知されたブランドということになる。

クルマ全体のデザインも、ブランドと同じような効果を持つ。その好例として、BMWデザインが挙げられる。BMWの新世代デザインでは、従来の戦略から一歩進めて、クロスオーバーSUVまで含んだラインアップに統一したデザインアイコンを使用し、より強力なデザイン効果を狙っているのだ。


D視点:
デザインの視点
筆者::松井孝晏(まつい・たかやす)---デザインジャーナリスト。元日産自動車。「ケンメリ」、「ジャパン」など『スカイライン』のデザインや、社会現象となった『Be-1』、2代目『マーチ』のプロデュースを担当した。東京造形大学教授を経てSTUDIO MATSUI主宰。【D視点】連載を1冊にまとめた『2007【D視点】2003 カーデザインの視点』を上梓した。
《松井孝晏》

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