気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2010年3月4日付
●三菱自動車、資本提携見送り、プジョーと出費比率で溝(読売・2面)
●トヨタ、販売いつ回復、米、2月8.7%減、販促で巻き返し(読売・3面)
●トヨタ定昇維持へ、2010年春闘(読売・9面)
●日本@世界、船橋洋一(本社主筆)トヨタに何が起きたのか(朝日・1,15面)
●検証トヨタリコール問題、「お客様第一」失速、理念置き去り急拡大(朝日・2面)
●高速道の割引財源転用、建設に税金3兆円分、法案提出へ(朝日・6面)
●トヨタ、不具合情報共有へ、品質管理体制見直し着手(毎日・1面)
●社風改革を急ぐトヨタ、米での批判受け、透明性向上目指す(毎日 ・4面)
●トヨタ、ブレーキ安全装置導入、国内はヴィッツから(東京・8面)
●日産54万台、リコール、トラックなど(東京・8面)
●トヨタ労組、大集会見送り、春季労使交渉、社長、2回目も欠席(日経・9面)
ひとくちコメント
2009年末から交渉を続けていた三菱自動車と仏PSAプジョー・シトロエン・グループとの資本提携が見送られることになった。
益子修社長とフィリップ・バラン会長がジュネーブで開催中のモーターショー会場で会談し、「現在の事業環境下では現実的ではない」と判断。しかし、両社は今秋から始まる三菱からPSAへの『i-MiEV』(アイミーブ)の供給など、これまでに合意した業務提携は続け、さらなる拡大も検討する方針を確認したという。
きょうの各紙が経済面などで大きく報じているが、両社が3日午後3時(日本時間)過ぎに共同声明を流したのを受けての発表記事である。3日付の日経朝刊ではモーターショー会場でPSAのフィリップ・バラン会長を直撃したインタビュー記事を掲載しているが、焦点となっていた資本提携に関しては「戦略的なパートナーを超えた連携について、現在交渉中」などと、お茶を濁す程度の内容だった。
無理もない。この1か月余り、各紙の自動車担当記者は、トヨタのリコール問題に東奔西走して、両社の資本提携交渉の取材が疎かになっていたからだろう。もっとも、2010年に入って国内ではサントリーとキリンビールの経営統合が破談するなど、麻雀に例えれば、オープンリーチによる交渉は横ヤリも多く、実現する確率は低かったことも事実。
この先、自力再建が難しい三菱自動車は新たなパートナー探しに奔走することになるが、韓国や中国メーカーなども電気自動車の関心が高く、PSAとの資本提携が白紙になったことで、むしろ選択肢の幅は広がる可能性もある。