都会のコンクリートジャングルで働く人たちや、大規模イベントに集まる人たちの胃袋を支えているケータリング業者。その商売道具である移動販売車にも、いくつかのトレンドが見られる。そのひとつが、移動販売車に適するベース車だ。
移動販売車の製造・販売を行なうエフ・ビーオート(相模原市)では、全体の6 - 7割が軽自動車ベースで、そのすべてにスズキ『キャリイ』を採用しているという。
代表取締役・藤平光男氏は、「キャリイの荷台下は我々が用意しているオリジナルパーツなどを組み込みやすい構造になっている。例えば発電機を埋め込むにしても、他社の軽トラじゃ一筋縄でいかない」と話す。
もちろん、キャリイ以外の軽トラをベースとした移動販売車も街のあちこちで見られるが、藤平氏はキャリイにこだわる理由を次のように語る。
「他メーカーのつくりを見てきている。例えば、スバル『サンバー』はRRレイアウト、ホンダ『アクティ』はMR、ダイハツはガソリンタンクが荷台下にある、三菱『ミニキャブ』はスペアタイヤが邪魔、と、手を加えるさいのNGの理由がそれぞれにある」
同社の軽トラベースタイプの移動販売車は、現行キャリイの進化とともに歩んできた。「これまでつくってきた軽ベースの移動販売車のほとんどが現行キャリイがもとになっている。型式では通称“ゴーニー”、”ロクニー”、”ロクサン””と移ってきたが、そのすべてをユーザーのニーズに合わせて仕立ててきた」(藤平氏)
移動販売車を手がけるクラフトマンにもそれぞれの“素材のこだわり”があるようだ。