6日、2009年度グッドデザイン大賞を受賞した「岩見沢駅舎」は、ワークヴィジョンズ+岩見沢レンガプロジェクト事務局による街再生プロジェクトだ。決選投票で347票を獲得し2位との差は100票以上となった。
デザイナーを務めたワークヴィジョンズ代表の西村浩氏は、会場で「モノ」のプレゼンテーションをするのか「現象」をプレゼンテーションするのかを悩んだという。
実際に会場で西村氏は、岩見沢駅舎再生に市民が関わったことにより人と人との繋がりが再生し、まちづくりへつながっていった「現象」をプレゼンテーション。読みは見事的中した。
内藤廣審査委員長は「会場に来ている人にも故郷があって、いま地方が大変なことになっていることに心配をよせていたのだと思う」とコメントするように、プレゼンテーションが会場の人々の心に響いた投票結果になった。
決選投票がされた上位5位のなかには、「サムスン電子の液晶テレビ」、「ソニーの液晶テレビ」の、シンプルで美しいモノに対する投票があるいっぽう、「TOTOの公共トイレ」、「ガンダムプロジェクト」の、デザインによって人に影響を与えたものが票を獲得している。
ベスト15にノミネートされていたハイブリッドカーの2台は、内藤審査委員長が「エコロジーであることはマナーのようなもの」と語るとおりに、『プリウス』50票、『インサイト』32票と、得票数をみるとエコロジーであることはスタンダードでありアドバンテージにはならないという投票結果になった。
多くの市民が駅空間に愛着を持って接している姿を見て、勇気づけられたデザイナーも多いはず、「デザインの力で人々の生活を変えていける」ことを証明した「岩見沢駅舎」は、今年のグッドデザインの象徴にふさわしいといえるだろう。