ダイハツブースにおける技術展示の目玉は、低燃費設計を強化した改良型エンジン2基と、プラチナを使用しないアルカリ雰囲気で駆動するタイプの燃料電池だ。
新エンジンは10・15モード走行時燃費30km/リットルを実現するという参考出品車『e:S(イース)』のもの。ベースは現行のKF型3気筒、外部EGR(排気ガス再循環)強化、アイドルストップ機構搭載ということ以外は明らかにされておらず、10月21日の東京モーターショーのプレスデー1日目におけるブリーフィングで詳細を発表する予定であるという。
もう一つは、およそ2005年に初めて技術発表を行った新型燃料電池の試作機。現在の自動車用燃料電池の主流である固体高分子型に似た構造ながら、宇宙航空用のアルカリ電解質形燃料電池と同様に、アルカリ雰囲気で作動するという独特のシステムを持つ。燃料はロケットモーターにも使用されるヒドラジンに水を加えたものを使用する。
05年時点では産業総合研究所との共同開発であったが、現在はアメリカと共同開発中。高価な白金を電極材料に使わずに済み、液体燃料の水加ヒドラジンを使用することからカーボン製の高価な超高圧水素ボンベも必要ないというメリットがあるが、まだ車1台を走らせるだけの出力密度を得られていない。その意味では今回の展示はあくまで将来技術という位置づけだが、脱石油の技術スタディとしてぜひ見学しておきたいところだ。