住友商事、カザフでレアアース回収事業を展開…HV、EVモーター向け

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住友商事は12日、カザフスタンの国営原子力公社カザトムプロム社とウラン鉱石残渣からレアアースを回収する事業で合意した。両社が協力してカザフ国内にある残渣からの回収事業を独占的に行い、新たなレアアース資源ソースの確立に乗り出す。

住友商事は、すでにカザトムプロム社とは日本初のウラン鉱山開発事業を推進しており、今回2件目の共同事業となる。
 
この事業で回収するレアアースにはハイブリッド自動車や電気自動車のモーターに欠かせないディスプロシウムやネオジムが豊富に含まれている。こうした素材はこれまで、ほぼ全量を中国から輸入してきたが、カザフが今後、新たな供給源となる可能性が出てきた。
 
具体的には、今年末までに合弁会社を設立し、カザトムプロム傘下のウルバ冶金工場の既存設備を活用して、ウラン鉱石残渣からのレアアース混合物の回収事業を立ち上げる。まず、2010年には年間3000tのレアアース分離品の生産体制を確立し、将来的には現地でレアアースを使用した高付加価値品を一貫生産する。
 
カザフ国内には、露天掘りで採掘されたウラン鉱石残渣が大量に存在する。初期調査の結果、それらの残渣には、今後ハイブリッド自動車や電気自動車の普及により必要不可欠となり、需要の急増が見込まれるディスプロシウムやネオジムが豊富に含まれていることが確認されている。
 
今回の事業は、既存の残渣からレアアースを回収するため、新規に鉱山開発を行う場合と比較して、短期間での生産開始が可能なほか、環境負荷が低く、開発コストが低減できるなどのメリットが見込まれる。
 
一方、レアアースを含むレアメタルの安定供給は、国内製造業の国際競争力の維持・強化の観点から重要。政府は7月に「レアメタル確保戦略」を策定し、今後需要増が見込まれる新エネ・省エネ製品の動向などから必要とされる優先度の高い鉱種について、集中的・戦略的な取り組みを実施するための枠組みを整備した。
 
こうした観点から経済産業省資源エネルギー庁や石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、今回の事業についてレアアースを回収する技術開発への支援を決定しており、今後も融資などを含め、プロジェクト成功へ向けての支援を検討する。

《レスポンス編集部》

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