ボディもエンジンもひとまわり大きくなり、デザインまで肉食系に一新して登場した新型『レガシィ』。その激変ぶりに戸惑う人もいるようだけど、中身がそれ以上に変わっている点にも注目すべきだ。
たとえばエンジンマウントは、スバル『1000』以来43年ぶりの新設計。これがアイドリングの振動や不快なノイズを抑え、水平対向エンジンのバランスのよさだけを味わわせてくれる。
2.5リットルターボエンジンはタービンの配置を換えた結果、2000rpmという低回転からトルクを立ち上げるようになり、同じ2.5リットルの自然吸気とコンビを組む新開発のCVTは、発進停止をスムーズにやってのけるうえに、SIドライブのモードに合わせて制御をはっきり変えるなど芸が細かい。
インプレッサ譲りの足回りは、乗り心地こそ車種によってバラつきがあるけれど、素直なハンドリングはボディの大きさを感じさせない。
あらゆる部分が予想以上に進化している。なのに価格は旧型とほとんど同じなのだ。レガシィ20年の歴史を脇に置いて、まっさらな気持ちで眺めれば、いいクルマに映るはずである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『パリ流 環境社会への挑戦』、『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)など。