ちょい乗りでも実感できる低燃費にまずは脱帽だ(あくまでも車内表示を信じての話だけれど)。下半身に厚みのある乗り味や内外装の雰囲気にも新しさを感じる。なるほど、ハイブリッド車=『プリウス』として大幅な進化を果たしたといっていい。その技術力の高さは、日本のモノ作りの誇りだ。
『インサイト』と違って、半電気自動車感覚を誰もが楽しめて経済的(本当にあの価格ならなおさら!)という点が“ハイブリッド”という新バリュー(エアコン、パワステ、オートマ、エアバッグみたく、ないと売れない、あって欲しい装備みたいなもんだ)をさらに広く知らしめることになるはず。またもや長い行列のできそうなクルマの登場は、何はさておき、明るいニュースで嬉しい。
もっとも、複雑すぎるメカニズムへの賛美は同時に、素朴な疑問も呼ぶ。本当にクルマはこのまま複雑に複雑を重ねていっていいの?! さらに、噂の激安価格設定になれば、他の乗用車(もちろんトヨタ車含む)に与える影響は多大で、ラインナップ再編もまた必至。 いろんな意味で、実用乗用車の価値観が再構築されることだろう。この世界的不況のまっただ中にあって、産業構造そのものが変わる可能性すら見えている。ジドウシャのカタチをかなぐり捨てて、よりシンプルなモビリティを目指すのは誰か?! いよいよ面白くなってきた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
西川淳|自動車ライター
昭和40年生まれ、奈良県出身。スーパーカーをこよなく愛し、イタリア車に大いにはまりながらも、高性能ドイツ車を尊敬してやまず、新旧日本車もカワイクて仕方がない。三国同盟的浪花節クルマおたく。