新型フェアレディZのテレビCMで日産のテストドライバー氏が演じているように、Zは山岳路を気持ちよくクイックイッと曲がっていく。このままコーナーが永遠に続けばいいのにと願ってしまうのは、平坦な直線路や緩いコーナーでは、アラばかりが目立ってしまうからだ。エンジンフィーリングは退屈で、回すとうるさい。6速MTのシフトストロークは長く、動きも渋い。変速時に最適な回転数に制御する「シンクロレブコントロール」も、ボタンを押して選ばなきゃならないなんて、腰が引けている。本当にいいなら、それだけに統一しなきゃ。穏やかに流していると、ミッションやデフ、タイヤなどからの雑音が割り込んで来て、喧しい。買うなら、ATか。大人が乗るスポーツカーとしては、デリカシーに欠けている。でも、歴代Zは、アメリカで大量に売るために作られたからだと考えれば、納得がいく。救いは、スタイリング。写真より、実物の方が数倍カッコいい。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★パワーソース:★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★金子浩久|モータリングライター1961年東京生まれ。著書に、『10年10万キロストーリー』、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』(共著)などがある。