1 | フローリアン君 |
今月のお題はフローリアンである。といっても、かつてあまりに長寿のため「走るシーラカンス」と称された、いすゞ製小型セダンではない。知り合いのスイス人青年の名前である。
フローリアン君に頼まれて、イタリアの漫画本を郵送していたのは昔の話。気がつけば小さくなって履かなくなった靴を送ってもらうようになっていた。早くも、ギムナジウム(3年制の進学準備校)に通う16歳だ。目下の目標は大学を卒業後、外交官になることらしい。
最近は何に興味があるのだ? と聞けば、「iPhone 3G」という答えが返ってきた。さらに驚いたことに、今夏はその iPhone購入費用を稼ぐべく、生まれて初めてアルバイトをすることに決めたという。両親から「欲しいなら自分で稼げ」と言われたらしい。
ちなみに彼の家は、父親が高校校長、母親も教師である。自分の子供を教師にするため100万円の商品券を賄賂として用意するどこかの国の教員夫婦からすると、見上げたものである。