3 | まさかの分割払い |
ともかく、彼はなんとか3週間を乗り切った。例のおとなしさも、レストラン側が用意した「笑顔&声かけ&清潔マニュアル」で見事克服したようだ。それに、もともと彼はスイスのドイツ語圏に住みながらも母親はイタリア語を話し、学校では仏、英語も勉強している。どんな客が来ても困らないだけの語学的度胸は、大きな強みだったろう。
さて過酷な3週間を終え、晴れてスイスコムのショップへ、と行きたかったところだが、意外なことが判明した。給与は一括払いではなく、はじめに半分、残りは翌月払いだったのだ。仕方がないので母親に泣きつき、半分を前借りすることに。
かくして念願の iPhone 8GBを199スイスフラン(約2万円)で手に入れた。彼が選んだのは、26歳以下の顧客に適用される若者向けプランだ。月額料金29フラン+データ料金10フランの計39フラン(約3900円)を払うと、250MBまで使い放題というものである。
ボクが家を訪ねてみると、フローリアン君がさっそく iPhoneをもって登場した。いっときも離さず、友達とメールをやりとりしたり、ネットサーフィンを楽しんでいる。ボクが山をバックに秋川雅史になりきって「千の風になって」を歌うと、彼はバッチリその模様を撮影した。