加速力に関しては、ビッグパワーエンジンとは明らかにフィーリングの異なるトルク感でグイグイと引っ張っていく。天井知らずといった感覚の加速力。これがモーターアシストの加速。2.4トンもの車重を楽々と加速させるほどだ。
フランクフルトモーターショーがハイブリットだらけだったことを考えれば、これからのクルマはこんな方向の加速フィールになるのだろう。ちょっと不思議だが、明らかに速い。それと、試乗当日は大雨だったが、高速直進安定性が素晴らしい。4WDもしっかり機能している。
ただし、凸凹を乗り越えたあとなどに生じるシンバルのようなボディの振動は『LS460』のものをそのまま引きずっている。さらに、ワインディングを走ったときのサスペンションの動きにも、スムーズさに欠ける高級車らしからぬ部分がある。
走りを含めた『LS600』の質感は、現代風なデジタルチックなもので、身体はじゅぶんに癒されるし、静寂な室内も素晴らしい。しかし、心の芯まで届くような質を得るには、次のモデルまで待たなくてはならないようだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
松田秀士|モータージャーナリスト
GTでフェラーリを駆る現役レーサー。INDY500やルマンなど海外レースにも積極的にチャレンジする。すでに49歳が目前という年齢ながら、まだまだ走る。モータージャーナリスト活動にも積極的。日本カーオブザイヤー選考委員。