OSはガーミンオリジナル
---:地番号レベルまでの住所検索に対応するなど、収録データはフルナビ並の容量ですね。
高橋:06年8月に発売したアウトドアハンディGPSの主力機「60CSX」では丁レベルの検索はできたのですが、車載用として使うにはもっときめ細かいデータは必要だと考えていました。
---:2000万件の住所と800万件の電話番号という収録データは当時発売されたPNDのなかでは図抜けていましたからね。ところでこのnuvi360、アメリカで販売されている価格に比べると、かなりの割安だと聞きました。日本仕様化にあたっての追加コストを考えると、かなり努力されたのではないですか。
高橋:PNDは競争の激しい市場です。やはり価格競争力を持たないと日本での拡販は望めません。米国のガーミン本社、弊社、販売店様と各社の努力によりこの価格を実現させました。
---:韓国や台湾のメーカーは、非常に安いPNDを出していますよね。
高橋:Windows CEベースで汎用ハードウエアと地図とナビアプリを組み込めばかなり安くなるはずです。その価格競争力は確かに脅威ですが、ガーミンとしては値段の安さでは直接勝負せずに、インターフェイスや機能面を前面に出していきたいというのはあります。事実、この戦略で欧州や北米では確固たる市場を獲得していますから。
---:nuviのOSはCEベースなのですか。
高橋:いいえ。OSはガーミン独自のものを採用しています。実際、手に取ってみないとわかりませんが、汎用OSがプラットフォームで無い分、動作が軽くフリーズの少ない安定した動作をしているかと思います。
---:ガーミンとしては、価格的にも安価で大量生産できるCEプラットフォームではなく、独自OSを使って他社と差別化したいという意図があるのでしょうね。
高橋:実はガーミンにも汎用OSベースの商品がありましたが、今は姿を消してしまいました。べらぼうに安くはないけれども高性能、ということで海外では支持を 得ていますからね。
---:ホンダのギャザズMバイク用ナビもnuviがベースですね。
高橋:そうです。ガーミン、ホンダアクセスさん、弊社(いいよねっと)の3社で共同開発したものです。
---:アメリカではPNDが家電量販店で売られていますよね。昨年(2006年)の夏、アメリカに行った際に量販店の店員に話を聞くと、「PNDは(ガーミンのような)GPSメーカーの方がユーザーの認知度が高い」という答えが返ってきたのです。日本では、ナビはカーオーディオの延長として登場しましたから、カーオーディオメーカー=ナビメーカーという認識が当たり前なのですが、欧米ではそうではないんですね。
高橋:海外ではGPSというとアウトドアで使うハンディ機器から拡大していったというの経過がありますからね。
---:日本はカーナビ市場の成り立ちそのものが独自でしたからね。