ホンダアクセスが発売するGathersナビの2008年モデルには、メディアとしてHDDやDVDではなく、フラッシュメモリーを搭載した「メモリーナビ」がラインナップしている(『VXM-085C』)。純正カーナビとしては日産やダイハツに続く採用だが、メモリーナビのメリットはどこにあるのだろうか?
「まずは値段が安いことです。DVDナビよりもさらにリーズナブルなので、お求めやすいと思います」と、ホンダアクセス四輪開発部IEブロックの大坪浩也さんはいう。
「あとは、レスポンスがいいことです。検索は、DVDナビよりも素早く行なえます。また、DVDナビと同じように地図を連続スクロールさせても、DVDではときどき動きが止まることがありますが、メモリーナビではそういったことはありません」
とはいえ、そんなメモリーナビにもデメリットはある。それは、DVDナビと比較しても容量が限られているため、検索や地図のデータに制約があることだ。
「しかし、別売とはなりますが、SDカードによる拡張データ(8400円)に対応しているので、物足りないと感じたらデータを追加して使っていただければ不満は解消するのではと思います」(大坪さん)
確かに、最近の高性能ナビに比べると収録されているデータの内容や付加機能という面では見劣りするのは確かだ。VXM-085Cの場合は、ほかのナビに比べ、市街地詳細地図や個人宅電話番号検索のデータが省かれている。
しかし、目的地まで誘導するという意味では別売メモリーカードに収録されている約977万件のタウンページデータ(上位機種とほぼ同じ件数)で不足はなく、実際の使用状況を考えれば、90%以上の一般ユーザーを満足させられると筆者自身は考えている。そう考えれば、オーディオと一体型にもかかわらず11万3400円(税込)というリーズナブルなプライスは大きな魅力だ。
また、「ボタンが少なく、操作系もとてもシンプルにしてあります。スイッチの大きさにもこだわりました」というのは、ホンダアクセス商品企画室四輪商品企画ブロックのチーフであり、08年モデル開発責任者の廣川昭三さん。
携帯電話の世界で、機能を絞ってシンプルな操作性を実現した電話機がヒットしているように、シンプルなナビのニーズは少なくないはずだ。今後のカーナビは、ますます高機能化していくHDDナビと、シンプルかつ低価格化するメモリーナビに2極化していくに違いない。