トヨタの新型ファミリーセダン『プレミオ/アリオン』(6月4日発表)のプレス向け発表会場でしばしば聞かれたのが、「プレミオはミニクラウンだね」との感想。実際、大型の異形ヘッドランプユニットやグリルの意匠は、トヨタの高級車『クラウン』との類似性を強く感じさせる。
上級モデルのデザインファクターを一部流用して、下位モデルの商品力を上げるという手法は、メルセデスベンツやBMW、ポルシェなど、ブランドイメージの高いメーカーがしばしば使うもの。日本は自動車大国だが、この手を計画的に使えるほど上級モデルがブランドイメージを勝ち得ているメーカーはトヨタだけだ。
と思いきや、チーフデザイナーの伊澤和彦氏は、クラウンをモチーフにしたとの見方を完全に否定。
「プレミオをデザインするにあたり、他モデルに意図的に似せたということはありません。『Tフェイス』(トヨタのフロントマスクのデザイン指針)をモチーフに、あくまでスタンドアロンでデザインしました」(伊澤氏)
デザインのアプローチはともかく、プレミオのフロントマスクの押し出し感はきわめて強く、1クラス上の価格帯の車のような印象を与える。旧型モデルも車格を越えた高級感で人気を博してきた。その点、新型の内外装はまさに正常進化と言えよう。