『オーリス』の足まわりをちょっと変えて、4気筒ながらプラス600ccの2.4リッターエンジンを載せ、内装をちょっと高級仕立てにしたのが「ショート・プレミアム」の『ブレイド』だ。
たしかにエンジンはトルクの余裕が増して、より豊かな感じになった。けれど、『RAV4』や『エスティマ』に積まれている4気筒だから、取り立ててなにか“ありがたみ”のあるエンジンではない。
いちばんガッカリしたのは乗り心地で、ガツンとくるショックのまるめ方はうまいが、けっしてフラット(平滑)ではない。サスペンションの制振がいま一歩と思わせる、トヨタ特有のブルンブルン・ライドである。
しかし、そういうことよりも、このクルマは、前席空間を二分するセンタースタックの是非で、個々人の評価が決まるだろう。ダッシュボードから連なる恐竜の尻尾みたいなプラスチックの立体造形物だ。
真にプレミアムなクルマは、プレミアムを名乗らない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。