【池原照雄の単眼複眼】スズキ、「希望は大きく、仕事はコツコツ」と300万台体制へ

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5カ年中計を再度上方修正

スズキが目下推進中の「中期5カ年計画」(2005−09年度)を、上方修正した。修正は昨年8月に次いで2度目。最終目標としていた連結売上高3兆円を06年度で早々に達成したためで、新たな計画は、売上高3兆5000億円以上とした。

最終年度の4輪車世界生産は300万台以上(当初270万台以上)であり、今後3年間で約60万台の拡大を図る。海外での旺盛な引き合いから、このハイペースの伸びも射程圏内と見てよい。

修正計画では、利益目標も経常利益で1750億円と、従来比で250億円上乗せした。経常利益率5%(06年度は4.4%)の確保を変更していないため、売上高目標の修正に伴い、カサ上げされた。

◆09年度の世界生産能力は310万台超に

4輪の世界生産300万台は、昨年8月の修正時に打ち出されていた数字だが、今後3年で60万台の拡大は、日産自動車が修正「バリューアップ」で目指す今後3年間の拡大計画(70万台強)に、ほぼ匹敵する。

ただし、スズキは前年度までの2年間で年率20万台規模の成長を確保している。今後の3年で目指すペースは同じであり、欧州や北米、中南米などの着実な販売増からも実現への信認度は高い。

鈴木修会長は、中期計画の修正について「希望は大きく、仕事はコツコツやるということ」と言及した。生産増の布石は、昨年からまさにコツコツと始めている。

09年度までにインドを中核とする海外で年50万台強、日本では建設中の相良工場(静岡県牧之原市)内の小型車新工場で年24万台の能力増を図る。完成後、能力一杯に生産すれば310万台はゆうに超える。

◆関門は小型車「3兄弟」の次期モデル

能力増によって、生産の補完体制もより柔軟に構築する。たとえば欧州市場向けは、これまで日本とハンガリー工場からの供給に限られていたが、昨年稼動したインドの第2工場からは、今後『スイフト』を輸出する。

今中期計画でのスズキの躍進は『スイフト』をはじめ、『SX4』『グランドビターラ』の小型車3兄弟が支えている。モデル数が少ない分、生産、コスト面での効率も良い。

ただ、少数モデルへの集中はリスクともなる。鈴木会長も「08年以降には各モデルとも投入後4-5年になる」と、次期モデルに思いを巡らせている。つまり、ヒット車の全面改良は難しいというわけだ。300万台体制への死角があるとすれば、3兄弟のモデルチェンジということになろう。

《池原照雄》

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