21日、インディジャパン300マイルの決勝レースが行われた。天候が心配されたが、ツインリングもてぎ上空は薄い雲の切れ間に青空がのぞく陽気。気温もレーススタート時には30度近くまで上昇し、絶好のレース日和となった。
盛りだくさんのレース前アトラクションの後、定刻午後一時、レースがスタート。そして松浦孝亮が思いもよらないアクシデントに見舞われたのもその直後だった。18台のマシンがフル加速でファーストターンに飛びこんできた瞬間、3ワイドでの中段グループのポジション争いの背後で、松浦がスピン。そのままウォールにヒットしてしまった。
注目の松浦がファーストラップで戦線離脱、という波乱の幕開けとなったレースだが、序盤はポールスタートのエリオ・カストロネベスがこのまま200周を支配するのか、と思われる展開。しかし、レースが中盤に入るとダン・ウェルドンがエリオをかわし、さらにトニー・カナーンがトップを奪った。
そしてラスト約50周、終盤戦はコース上の戦いとともに、残り燃費とタイヤの摩耗を睨みながらの作戦勝負の様相を呈してきた。そのきっかけを作ったのは、134周目でのマルコ・アンドレッティのクラッシュだ。直前に3番手にまで浮上していたマルコだが、ルーティンストップの直後のターン4でスピン。ピット前、スタート・ゴールライン付近の内側にコンタクト。レースは長いイエローコーションで中断された。
残り周回はノーストップで走りきれるか否か際どいところ。イエローコーションの最中、各マシンはそれぞれの作戦にそってピットストップを行った。そして約50周を競う最後のリスタート時にトップに居たのはウェルドン、2番手にカナーンという陣容だ。しかしラスト17周のところで、すでに早い時点でピットインしていたウェルドンは、いち早く最後のピットに戻り、続いて2周遅れてカナーンがピットイン。
その後、2台のピットストップで先行していたサム・ホーニッシュJr.とスコット・ディクソンが相次いでピットに入ると、ラスト2ラップを残した大詰めの段階でトップにたったのはカナーンだった。カナーンは背後に迫るウェルドンを0.482秒差で振り切りゴールに飛びこむと、もてぎ戦での初勝利を手中に。
「自分をずっと信頼し続けてくれたホンダの地元戦で勝利をあげることができたことに感動してる」とカナーン。ダニカ・パトリックは混戦の波に乗り切れず11位、松浦はファーストラップで無念のスピンに泣いた。