701万円という新型『3シリーズクーペ335i』の価格は、641万円という3シリーズセダンの「330i」に比べるとむしろ安いとさえ思える。なぜなら、ターボ化したエンジンをはじめアクティブステアリングなどの装備も追加されているからだ。
とはいえ、さすがは発表会のスピーチで「プレミアム」を連呼するほどのメーカー。国産ブランドで、3.0リットルエンジン搭載のクーペにここまでのプライスをつけられるブランドはないだろう。国産車唯一のクーペモデルである日産『スカイラインクーペ』も、プライスは3シリーズクーペの約半額である。
しかし、海外で大成功を収めて逆上陸を果たしたレクサスなら話は別かもしれない。今のところレクサスには3シリーズクーペのライバルに該当するモデルはないが、ISをクーペにしてハイパワーエンジンを搭載したらガチンコライバルとなるに違いない。
「(レクサスは)販売的なライバルではないですね。むしろ、プレミアム市場が活性化するという意味で歓迎したいと思っています」というのは、BMW広報室の勝谷宗一郎さん。たしかに、レクサスの販売データを見ると、外国ブランドからの乗り換えはトヨタが予想していたほど多くはない。それほどまでにBMWなどのドイツ勢のブランド力は強いのだ。
「ブランドには伝統が必要」。発表会場となった六本木ヒルズ森美術館には歴代のBMWが展示されていたが、それらを眺めていたら、BMWのヘスス・ゴルドバ社長がスピーチで語ったそんなフレーズが頭をよぎった。