レクサスブランドのフラッグシップモデルとして登場した『LS』(19日発表)のエンジンは、新開発の4.6リットルV8DOHC「1UR-FSE」。
シリンダー内にガソリンを直接噴射する直噴エンジンでありながら、普通のエンジンと同じポート噴射インジェクションも備える燃料噴射システム「D4-S」など、先にデビューした『GS』の3.5リットルV6とエンジニアリング面で多くを共有する、トヨタの新世代エンジン群の頂点に立つエンジンだ。
公称スペックは最高出力385ps(283kW)@6400rpm、最大トルク51.0kgm(500Nm)@4100rpmと、強力無比。エンジン性能の目安のひとつであるリッターあたりの比出力、比トルクもそれぞれ83.55ps、11.08kgmと、プレミアムサルーンの自然吸気エンジンとしては世界最高クラスだ。
ちなみにレクサスがライバルと想定しているBMWの4.8リットルV8DOHCは367ps・50.0kgm、メルセデスベンツの4.6リットルV8DOHC(日本未発売)は340ps・46.9kgmで、いずれもLS460の圧勝である。
エンジン開発を担当したパワートレーン本部・エンジンプロジェクト推進部の旭哲治主査は「D4-Sなど、技術的にはGSの3.5リットルエンジンと似ていますが、デビューがおよそ1年遅いぶん、さらに進化をはかることができました。例としては、吸気ポートの形状や加工精度をいちだんと工夫して、シリンダー内の空気の流れのうち、タンブル(縦方向の渦)をより強くすることができたことが挙げられます」と、技術の進化ぶりを語る。
「滑らかさや高速などでのパワーの伸びなど、フィーリングの面ではまさに狙い通りに仕上げられたと思います。すでにテストなどでかなり運転しましたが、強い加速Gがリニアに立ち上がるのは本当に気持ちいい」(旭氏)
レクサスLS460の新エンジンの競争力は、少数激戦である世界のプレミアムカー市場のなかでも当面、相当の競争力を維持するものと考えられる。