デジタコより安い端末費用。将来的にはASPモデルも検討
携帯電話ならではの柔軟性や拡張性を持つFOMA M1000 運行管理システムだが、具体的なシステム構成や導入費用の点での魅力はどうだろうか。
まず車載側システムは、クルマの位置情報を取得するGPSunitと、各種運行アプリケーションを実行するFOMA M1000で構成されている。
GPSunitとFOMA M1000の間は近距離ワイヤレス通信技術のBluetoothで接続されるため、直接、ケーブル類を繋ぐ必要はない。GPSunitをダッシュボード上に設置し、M1000はセンターコンソールボックスなど車内の任意の場所に置けばよいだろう。クルマの運行状況はすべてGPS位置情報の遷移で把握しているため、GPSunit/M1000ともにクルマ側との接続は必要ない。
FOMA M1000とGPSunitの導入価格は、一度に購入する端末数にもよるが、M1000が約1万円/1台、GPSUnitが約1万8000円/1台である。
現在、ドコモの902iシリーズなど最新のハイエンドモデルが1台2−3万円前後で販売されていることを鑑みると、大型液晶やタッチスクリーンを備えるM1000と、専用GPSunitの組み合わせで3万円を切るというのは妥当な金額だろう。将来的にアプリケーションの追加や高機能化が図れる拡張性も魅力である。従来からあるデジタルタコメーターは単機能端末で1台10万円以上なので、それと比べると割安感がある。
一方、社内側のシステムとしては、運行管理アプリケーションサーバーと専用ソフトウェアが必要になる。運行管理や日報作成はクライアントPCから行う。このサーバー機器の初期導入費用はケース・バイ・ケースだが、ハードウェアとソフトウェア、導入設置費用などが必要なため、M1000の端末を100台管理する構成で、約650万円程度になるという。
業務用の運行管理システムで、サーバー機器の費用まで含まれていることを鑑みれば、FOMA M1000対応版 運行管理システムのサーバー機器費用は決して高くはない。しかし、コスト競争の激しい運送業界で、中小の事業者まで幅広く訴求することを考えると、初期費用のハードルは確かに存在するのも事実だ。ドコモでは、「導入時の初期費用が不要で、毎月の一定額の基本料で運行管理サービスが利用できるASP(Application Service Provider)型のモデルも検討している」(大矢氏)という