新型軽自動車、三菱『i』(アイ。24日発表)のエンジンは、完全な新設計。ダイムラークライスラーグループのサブコンパクトモデル『スマート』の次期モデルにも使用される予定ということで、高速巡航を楽々こなせるだけの性能が与えられている。
「3B20」と命名されたこの新エンジンは、659ccの3気筒DOHC。吸気側に連続可変バルブタイミング機構を備えるなど、高効率化を目指している。
シリンダーの内径と行程は65.4mm×65.4mmの、完全スクエアタイプ。三菱は昔から、軽自動車のエンジンについてはスクエアストロークを基本とした設計を行ってきたが、今回もそれが踏襲された形だ。スペックは最高出力64ps/6000rpm、最大トルク9.8kgm/3000rpm。
このエンジンで注目すべきは、そのセッティングだろう。まずは燃焼制御。技術情報によれば、空燃費(空気量と燃料の比率)は極力、理論空燃費(酸素のすべてを使い切り、燃料は燃え残らない)の領域にとどめるよう制御されるという。
軽自動車のターボエンジンは最高出力付近ではオーバーリッチ(空気量に対して燃料を濃く噴射し、排気温度を下げる)にセッティングされることが多い。軽ターボモデルの多くが、巡航速度を上げると燃費が急激に悪化するのはこのためだ。
が、スマートのメインマーケットである欧州では、高速燃費の悪さは致命的な欠点となりかねない。そのため、ターボの過給圧制御をきめ細かく行うなどの工夫により、高速巡航にも対応可能な超小排気量ターボエンジンに仕立てられているのだ。