フランスのルノーは、4日、2005年の販売台数を発表した。グループ全体の世界での販売台数は、253万1506台と前年同期比1.7%の増加となった。これは、東欧やロシアなどでダシア『ローガン』が、韓国などでルノー・サムソン車の販売が好調だったことによる。
ルノーの世界における販売台数の分布の特徴は、主力のヨーロッパ(西欧+中欧)が73%と高い割合を占めている点にある。これは、日産の販売台数がアジアとアメリカでそれぞれ40%前後、それ以外が20%程度とバランスよく分散されているのと異なる。そしてここにルノーの弱点があると言える。
つまり、西欧と中欧が景気後退局面を迎え各メーカー間の競争が激しくなると、必然的に販売台数はマイナスとなり利益も低下する。これを西欧と中欧以外の市場で挽回しようにも、グループ全体の業績に良い影響を与えるにはまだまだボリュームが小さすぎる。
すでにルノーは、2005年の売上高に対する営業利益率は3%台になるとの見通しを公表している。この数字は日産の営業利益率9.2%(2005年9月中間期)に比べると、大きく見劣りするのは否めない。
昨年4月にルノーのCEOに就任したカルロス・ゴーン氏は、2月に新しい中期経営計画を発表する予定だ。官僚体質の組織、強い労働組合など、フランス的なしがらみに縛られたルノーの何を切り捨て、そして何を伸ばすのか。また、その計画はルノーに、日産の業績に比肩するような利益をもたらすことができるのか。2006年はゴーン氏の経営手腕の真価が問われる年になる。