●みんなが忘れていたスピリットに火をつけたアメリカGPが終了して、F1の舞台はフランス・マニクールに移った。無論、ここも「抜きにくいサーキット」として知られている。琢磨の成績は予選7位を獲得したものの、決勝はエンジントラブルでリタイア。琢磨はコース上から消えたが、彼の影響はコース上で残っていた。いつものようにフェラーリのミハエル・シューマッハが勝利を奪ったが、レースのドラマは最終ラップに訪れる。3位走行中のヤルノ・トゥルーリ(ルノー)のインにバリケロが飛び込んだ。それも最終コーナーの1個手前のコーナーでバリケロの挑戦は行われ、見事にそれが成功したのだ。どうだろう? バリケロが取った行動は琢磨の影響ではなかっただろうか。逆にトゥルーリ側からしてみれば、「ここでは来ない」というのが常識。だがバリケロは行動に出た。まるで3戦前のニュルブルクリンクのように。イギリスでもドイツGPでもそうだったが、不思議とコース上でのエキサイティングなオーバーテイクが増えているような気がしないだろうか? 琢磨以外のドライバー達がこう考えていても不思議ではない。「あの日本人にできて、自分にできないハズはない」と。余談ではあるが、ルノーの地元であったフランスGPでみすみす3位の座を奪われたトゥルーリは、チーム離脱が決定してしまった。モナコGPで、今年唯一のミハエル・シューマッハ以外のウィナーになっているにも関わらず……。コース上で展開される一瞬のオーバーテイク劇。それは、F1ドライバーの人生そのものを左右しているに違いない。●クラッシャーではなくファイター琢磨●コース上で抜ける、抜く!!●みんなが忘れていたスピリットに火をつけた