マツダから発売された新型コンパクトカーの『ベリーサ』。シャシーやエンジンのベースとなるのは『デミオ』なのだが、実際に走らせてみたフィーリングは、デミオとは随分と異なった味付けになっている。
ベリーサのターゲットはデミオに比べると年代層が高く、子供が独立した50歳代の夫婦までもカバーするという。その世代だと上級セダンを経験したユーザーも多く、見た目だけの上質を追求してもダメということで、走りもコンパクトカーの水準を超えた上質な仕上がりになっている。
デミオのフットワークはキビキビ感を重視した、スポーティな味付けだったのに対し、ベリーサは乗り心地に振っている。とはいえ乗り心地をよくするために、足回りをソフトにしただけではない。ヨーロッパで生産されたモンロー製のショックアブソーバーを採用し、乗り心地を向上させながらもハンドリングのリニアリティを大事にしている。
ベリーサの開発を担当したマツダ車体開発本部 前田剛亨氏は「ベリーサはデミオと同じコンポーネントを利用しておりますが、大型のクロスメンバーの採用などによりボディ剛性を高め、ダンパーの減衰力を乗り心地に振ることができました。これらの積み重ねにより、上質なフィーリングに仕上がっていると思います」とコメント。
実際にタイヤを通してハンドル伝わる確かな手ごたえは、国産のコンパクトカーにはなかったもの。どちらかといえば、欧州コンパクトカーのようなしなやかさがある。あたりの柔らかなソフトな乗り心地を持ちながら、安定感のあるフットワークを実現している。
ベリーサはデミオと同じプラットフォームやエンジンを使いながら、スタイリングはもちろん、走りの味付けに関しても、ひとクラス上の質感を手に入れることができている。(つづく)