『エスティマ・ハイブリッド』に搭載されるハイブリッドシステムはパラレルハイブリッドの一種で、『プリウス』よりも『インサイト』のシステムに近いものである。インサイトのシステムとの違いについて、第4開発センター 第3パワートレイン開発部開発室長の梅山光弘氏に聞いた。
「インサイトのハイブリッドシステムでは、モーターをフライホイールの位置に配置してエンジンと繋げていますが、エスティマでは、エンジンとモーターの間にクラッチを設けています」
つまりインサイトでは、モーターが回っているときはエンジンも動いている必要があるが、エスティマ・ハイブリッドでは、クラッチで両者を分離することで、それぞれ独立して動かすことができるということだ。このことは、エネルギーの回生効率に大きなメリットがあるという。
「インサイトではモーターとエンジンが繋がっているため、エンジンのフリクションやポンピングロスを差し引いた分が回生可能なエネルギーとなりますが、エスティマでは、エンジンとモーターをクラッチで分離することができるので、これらのロスを差し引く必要はなく、回生可能なエネルギー量を大きくすることができました」
インサイトは、できるだけシンプルなシステムを軽いボディーに搭載し、クルマ全体で低燃費化を図るという設計だが、エスティマ・ハイブリッドでは、大きなボディーに搭載するという前提の中で効率の高いシステムを追求した結果が、システムの違いに現れているようだ。