ガソリンエンジンは『ティーノ』用の1.8リットル直4DOHC「QG18DE型」をベースにしたもので、圧縮比を9.9から12.0対1にまで高め、また「アトキンソンサイクル」とか「ミラーサイクル」と呼ばれる遅閉じインテークバルブシステムなどを採用して、高い膨張比を得ているという。出力は燃焼効率を重視した結果、ノーマル版より低い100psと14.4kgmとなっている。組み合わされるモーターは駆動用の出力が17kWだ。エンジンとモーターの出力は合計すると約125PS程度に相当するという。
この駆動用モーターはハイパーCVTユニットの中、通常のトルクコンバーターのある位置に納められている。CVTユニット自体は、トルコンの変わりにモーターを内蔵している以外は、ギア比なども含め、『プレーリー』などガソリンエンジン用と基本的に変更はないという。
バッテリーには、ハイブリッド車としては世界初の「リチウムイオン・バッテリー」を採用。マンガン型正極を使い、軽量化とコストダウンを計っている。バッテリーはちょうど前席の下あたりのフロアに置かれており、小型軽量のため、室内スペースをほとんど犠牲にしていないのが特徴だ。バッテリー格納のため、後席足下のフロアはガソリン仕様より約5cmほど高くなっている。
なお、ハイブリッド化にともない、ブレーキブースターやパワーステアリングが電気モーターによる電動式に変更されている。また専用の5人乗りシートやアルミホイールを採用して軽量化を図った(そのため、リアシートはシングルフォールディングしかできない)。とはいえ、ハイブリッド化に伴い、車重はガソリン仕様にたいして約100kg増の1500kg。その内訳は、バッテリーが約40kg、ハイブリッド・システムが約60kgとのことである。
外観では、省電力タイプの「LEDリアコンビランプ」を装着しているのが大きな相違点だ。なお『ティーノ・ハイブリッド』は他の日産車同様、5年10万kmの保証がつけられている。生産は村山工場(!)で行われており、今回の限定100台の販売が好調であれば、その後の生産は九州工場で行われる予定だという。