短いフロント・オーバーハング、長いリア・オーバーハング、奇妙なプロポーションを見せるFCXは燃料電池(FC)試験車(X)だ。「意図的に奇妙にした」と語るのはエクステリア担当の名倉隆アシスタント・チーフデザイナー(和光研究所)。FC技術を目に見えるようにしたのだという。 名倉は解説する。「従来の内燃機関自動車の基準からすれば奇妙だが、FCならではのデザインだ。燃料電池本体はすべて床下に収まり、原動機(モーター)まわりに付属機器がないのでノーズが短くなる。クルマの前に立ってウィンドシールドに手が届くぐらいだ。軽自動車でも珍しいのではないか」 このプロポーションだと空力もよさそうだ。「その通り」と名倉。「実測値CD=0.28というのは4ドア・セダンでは最良レベルだ。ただ今回は燃料電池の方がアピールポイントなので、あえてそれをうたっていない。おなじ理由で、スタイリングで人の目を引くようなギミックはいっさいない。燃料電池が主役だ」 インテリア・デザイン開発も燃料電池がスタート地点だった。インテリア担当の菅原琢磨アシスタント・チーフデザイナー(和光研究所)は「燃料電池を床下に搭載したので床がフラットになり、実用空間が広くなった。そのことを生かしたデザインにした。たとえばシートをイタリア家具ふうのデザインにして、ゆったりとした室内空間を実現した」という。 そして“フラット”感覚がインテリア全体のデザイン・チーフになっている。菅原は次のように説明する。「インパネには平面ディスプレイのデジタル・イルミネーションパネルを用い、その薄さを表現するためにダッシュボードから分離させた形になっている。ハイテクを多用するとデザインは冷たい感じになりがちなので、天然素材を使用して暖かい感じになるようにした。また天然素材は高級感を演出する素材としてよく使われるが、リサイクル可能なアルミニウムを素材に用いて、新しい高級車デザインに挑戦している」
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【東京ショーD視点 Vol. 8】FCX、真面目なホンダ見せます
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