フォルクスワーゲングループは、IAAモビリティ2025において、3つの新技術のワールドプレミアを行った。
ひとつ目は、全固体電池を搭載したグループ初のテスト車両。このテスト車両は、ドゥカティの電動バイク「V21L」をベースに大幅な改良を施したもので、QuantumScapeの全固体電池技術を採用している。バッテリーシステムは全固体電池の要件を満たすよう一から設計され、QSE-5セルを最大980個搭載できる。
リチウム金属アノードとセラミックセパレーターを備えたQuantumScapeの全固体電池技術は、従来のリチウムイオンバッテリーとは根本的に異なる新しいセル技術だ。エネルギー密度、急速充電機能、安全性、耐用年数の面で大きな利点がある。
2つ目は、子会社PowerCoの新しいユニファイドセルの量産バージョンも発表された。このセルは、フォルクスワーゲン、シュコダ、クプラの「エレクトリックアーバンカーファミリー」に搭載される。年末までにザルツギッターのギガファクトリーで生産が開始され、その後バレンシア(スペイン)とセントトーマス(カナダ)でも生産される予定だ。
技術的には、PowerCoのユニファイドセルは飛躍的な進化を遂げている。エネルギー密度は約660Wh/lで、この容量セグメントで最も強力なバッテリーセルの1つとなっている。これは以前のセルに比べて約10%の増加に相当する。
バッテリーシステムも完全に新しく開発され、Cell-to-Pack技術が採用されている。「エレクトリックアーバンカーファミリー」は最大450kmの航続距離と25分未満の充電時間(予測値)を実現する。
3つ目は、フォルクスワーゲンの充電およびエネルギー子会社Elliは、ザルツギッターにPowerCenterを建設し、2025年12月に初の据置型大規模蓄電システムを電力網に接続すること。最大出力20MW、蓄電容量40MWhの蓄電システムは、PowerCoのバッテリーパックをベースとしている。
フォルクスワーゲングループのオリバー・ブルーメCEOは「フォルクスワーゲングループおよびそのブランドは、技術の進歩を全速力で推進している。バッテリーセル、バッテリーシステム、電動ドライブなどのeモビリティの主要技術を自社開発している」と述べた。
目標は2020年代末までに商用化を実現することで、両社は数年にわたり緊密な開発協力を構築している。カリフォルニア州サンノゼにあるQuantumScape本社に共同産業化チームを設立した。