日本航空(JAL)、JALUX、JALエアテック、タジマモーターコーポレーションの4社は8月29日、水素を燃料とする航空機けん引車の試験運用を開始したと発表した。
本取り組みは、東京都の「空港等におけるFC(燃料電池)モビリティ早期実装化支援事業」に採択され、昨年度から4社共同で推進している。CO2を排出しない燃料電池などによって駆動する航空機地上支援車両(FCGSE車両)の開発・商用化の促進と、空港臨海エリアにおける水素需要の喚起を目的としている。
国内で初めてディーゼル型航空機けん引車をFCGSE車両に改造し、試験運用および導入効果の検証を行う。実施にあたっては、JALUXが事業実施者となり、タジマモーターが車両開発・改造、JALが試験運用、JALエアテックが車両保守および水素充填を担当する。
試験運用は2025年12月までの期間で行い、その効果を検証する。本事業で得られた知見や成果は、東京都や他のパートナーと共有し、官民一体で今後の水素車両の開発や商用化に貢献する。
航空機けん引車は、飛行機が駐機場から滑走路へ向かう際に「プッシュバック」と呼ばれる作業で、飛行機を押し出して自走できる位置まで移動させる地上支援車両だ。
今回の取り組みでは、27年間使用した航空機けん引車を水素燃料電池車両へ改造し、羽田空港で試験運用を通じて、水素供給に係る運用方法や車両性能に関する多角的な検証を行う。
中型機から小型機を対象に使用し、1週間に1度、約20分(35MPa)で最大約10kgの水素を充填し、70km前後の走行が可能だ。
JALグループは、CO2の排出量削減に関し、2050年までのカーボンニュートラルの実現を目標に掲げている。これからも次世代の環境配慮型エネルギーの導入を推進し、空港および航空業界全体の脱炭素化に向けた取り組みを継続していく。