「インドにおけるスズキの成長戦略」池田直渡の着眼大局セミナー第2回【プレミアムセミナーレポート】

池田直渡の着眼大局セミナー第2回「インドにおけるスズキの成長戦略」
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1月30日、イードはオンラインで「池田直渡の着眼大局セミナー」を開催した。第2回は、スズキの営業統括兼インド事業本部長 鮎川堅一 副社長が講師として登壇。「インドにおけるスズキの成長戦略」と題し、成長するインド市場のビジネス環境や今後の見通しなどに関する説明が行われた。その内容をダイジェストでお届けする。


スズキのインド事業

スズキは1982年にインド市場に進出した。その後は順調に成長を遂げ、2022年度には同社の連結売上高4兆6416億円のうち、インドでの売上が約39%と日本を上回っている。この年世界で販売した300万台の四輪車のうち、約55%はインド市場におけるものだった。

2022年度の乗用車市場は前年比127%の成長を達成し、過去最高の389万台が販売された。マルチスズキは半導体不足の影響で供給が追い付かず、販売台数は前年比121%の161万台、マーケットシェアは41.3%にとどまった。2023年度は半導体不足も解消に向かい、第3四半期までの市場の伸び108%に対し、マルチスズキの販売台数が109%とシェアの回復が見込まれる。

生産に関しても、2022年度に192万台に達し過去最高を記録し今期も第三四半期まで順調に推移している。1986年に開始したインドからの輸出は、2022年度に、これも過去最高の25万9000台に成長した。

インドの概況と今後の見通し

インド経済は年間6%前後で成長を続けている。直近のGDPは3兆7000億ドルで日本の4兆2000億ドルに近づいており、2026年には日本を上回ると予想されている。

人口は、昨年、中国を抜いて世界1位となり、生産年齢人口も増加。豊富な労働力と巨大な内需を抱えるインドは、中長期的に大きな経済発展が見込まれる。人口の規模から考えると、市場サイズでは中国と同等になる可能性もある。今後も増加する労働人口の受け皿としても、政府は各産業の成長に期待している様子がうかがえる。

インドは2047年に独立100周年を迎える。ナレンドラ・モディ首相は2022年からの25年間を、「成長と繁栄の時代(Amrit Kaal)」と宣言し、GDPを10倍に、製造業の規模を15倍に伸ばす目標を掲げている。2047年には経済規模で世界第2位になることを目指し、経済成長促進のための様々な施策を打っている。

インドの自動車市場は、2030年に600万台を超えると期待されている。マルチスズキは50%のシェアを目指し、300万台以上の販売を計画。さらに100万台の輸出を加えると、2030年にはインド国内で400万台を製造することを予定している。

インドにおけるスズキの成長戦略

インドにおける成長戦略については、以下の5つを柱とする。
① 生産(新工場/生産能力増強)
② 商品/販売(SUV/VR)
③ 輸出(アフリカ輸出の増加)
④ カーボンニュートラル(マルチパスウェイ)
⑤ 人材交流(インドとの交流/SIC)

① 生産

グジャラート州にある四輪生産工場「Suzuki Motor Gujarat (SMG)」に320億ルピーを投資して第4ラインを新設する。その結果、生産能力は現在の年間75万台から100万台に強化される。また3500億ルピーを投じて、同州に2つ目の工場を建設することも計画中だ。第2工場も生産能力は年間100万台を予定。

グジャラート州への投資理由
SMGを設立した2010年初期に、当時のインドとしては珍しく電力供給が安定していた。また、港が整備されていると共に、地理的に西側への輸出に有利な立地であることも魅力の1つ。さらに州政府から安定的支援が得られたため、投資を決定した。2015年の定礎式から6年後には3工場が稼働を開始し、2023年12月には累計生産300万台を達成した。

その他の生産拠点
1983年に生産がスタートしたグルガオン工場、2006年のマネサール工場とグジャラート工場によって、2021年にはインドでの累計生産台数が2500万台に達した。2025年には4カ所目のカルコダ工場も稼働する予定。2028年に完成予定の新しいグジャラート工場を合わせると、インドでは5カ所の工場で車両生産を行う。

インド国内での生産能力
2030年までには年間生産能力を現状の2倍となる400万台まで増やし、インド国内向けを300万台、輸出用に100万台を予定している。そのほか、販売網の拡充、商品力の向上、業務のDX化など、業務全体の充実も並行して行う計画で、そのための人材育成にも力を入れていく。

② 商品・販売

インドでもSUV人気が高まっている。インド国内市場全体で見ると、2017年度はSUV比率が23.8%だったのに対し、2023年度はほぼ50%に達している。

スズキは2022年に『ブレッツァ』や『グランドビターラ』を投入。2023年には『フロンクス』と『ジムニー』5ドアの販売を開始した。2023年上期には、SUVモデルの販売台数が32万台に達し、セグメントシェア18.6%を獲得した。当初はSUVの投入が若干遅れたが、現在のところ販売は順調に伸びている。


《石川徹》

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