スバルは『レヴォーグ』をベースとしたSUVモデル、『レヴォーグ レイバック』を発表。発売を前に新潟県佐渡島において、プロトタイプを使用したメディア試乗会を開催した。
プロトタイプのためナンバーは装着されていない。従来、こうしたモデルの場合はサーキットや閉鎖されたコースで行うことが多かったが、今回は一般公道を通行止めにして行うという異例の試乗会となった。閉鎖はしていても一般公道であることには変わりないという条件がつき、最高速度は法定速度である60km/hに制限された。
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レヴォーグ レイバックはレヴォーグをベースとしているため、ホイールベースはレヴォーグと同一の2670mmとなる。エクステリアパーツをチェックすると、フロントまわりではバンパー、グリル、フェンダーを変更。リヤもフェンダーとバンパーが変更されている。
サイドビューではサイドスカート、ドアミラー、ホイールのデザインがレヴォーグとは異なる。これらに加え足まわりも変更され、全長は15mm、全幅は10mm、全高は70mmそれぞれ増加。最低地上高は55mm増やされ、全体としてSUVらしいスタイリングが与えられている。
◆車高アップした分ロールは大きめだが
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試乗コースはワインディングで、フラットな路面ではなくつねに勾配がある状態。試乗をスタートする場所も往路は上り坂で、カメラマンを乗せたシャトルは発進でエンジンがうなるほどの勾配があった。にもかかわらずレヴォーグ レイバックは、十分に余裕を持ったスタートを切った。エンジンはレヴォーグと同じ177ps/300Nmの水平対向4気筒である。
レヴォーグ レイバックはレヴォーグ同様にリニアトロニックと呼ばれる金属チェーン式CVTを採用する。CVTなので無段階変速だが、変速比を8段階に分割固定(完全な固定ではなく若干の変速を伴う)して使うこともできる。MT的な表現をするなら2速に入れて走ると、走りがキビキビする。
もともとしっかりしたハンドリングを持つレヴォーグがベースだけに走りのフィーリングはいい。レヴォーグに比べて車高をアップしている分ロールは大きめとなるが、フルロールした際の不安感などはない。ロールは大きいがステアリング操作に対するクルマの動きは正確で、ねらったラインをしっかりとトレースできる。最高速度が60km/hに制限されているが、それでもきついと感じるコーナーもあり、そうした場面でも十分に安定した走りを実現している。
◆リアルワールドにこだわった乗り心地
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走りのいいクルマは車高が低く、地をはうように路面に吸い付きながら走ると思っている方も多いがじつはそうではない。サーキットのようにクリーンでフラットな路面ならそういうクルマがいいが、リアルワールドの路面はつねに変化している。今回の試乗でも大きなうねりで路面が沈み込むような場面があったが、レヴォーグ レイバックはしっかりとサスペンションを伸ばして路面をつかみにいく。路面の継ぎ目の段差も上手に吸収してくれ、乗り心地はかなりいいものである。
この動きは乗り心地だけではなく、タイヤのグリップにも大きく影響している。現実的な路面でのグリップ感のよさはすばらしい。スバルがサーキットなどではなく、リアルな一般道での試乗にこだわった理由はここにあったのだろう。この懐の深いサスペンションを実感させたかったに違いない。
全体的なノイズも上手に抑えられ、乗り心地も上々。今回の試乗ではACCの性能などはチェックし切れていないが、レヴォーグでその性能の高さは確認済み。そう考えると、SUV化によっていい方向に進化したとみていいだろう。
◆400万円前後なら買い得レベル
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価格については正式に発表はされていないが、400万円前後というのがおおかたの予想。現在、レヴォーグ レイバックに設定されているグレードは「リミテッドEX」のみ。レヴォーグにはこのグレードはなく、このグレードが設定されるのは『レガシィアウトバック』で、上級モデルのグレード名。レヴォーグ レイバックの装備を見てもフル装備状態で、オプション設定は革シート、サンルーフ、スマートリヤビューミラーのみという充実さ。装備面なども含めれば、400万円は買い得レベルの価格設定と言えるだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。