自動運転の画像認識を大幅に高速化かつ省電力化するソリューションが、FPGA大手AMD Xilinx(ザイリンクス)のオートモーティブワールド2023内のブースにおいて展示された。
FPGAとは、カスタムな論理回路をプログラミング的に実装可能なハードウェアチップだ。ハードウェアで処理するので決まった処理を行うならCPUやGPUとソフトウェアの組み合わせよりも処理速度や電力効率の点で有利となる。
今回の「エッジAIトータルソリューション」の展示は、デンソーテンの「軽量エッジAI」とエヌエスアイテクス(NSITEXE)のAIアクセラレータ「Ml041」をザイリンクスのFPGAに実装することで、AD(自動運転)やADAS(高度運転支援システム)に欠かせない画像認識AIの大幅な高速化と省電力化を同時に実現できる手法を紹介するものだ。

現在の画像認識AI技術
まず、画像認識に使われるAI技術を確認しておこう。現在はCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)という画像認識に特化したディープラーニングが一般的だ。CNNの登場によって「AIが目を持った」と言われるほど劇的に画像認識の精度が向上した。
CNNは物体の輪郭などを抽出する「畳み込み層」と、空間的な位置のずれがあっても特徴を認識しやすくする「プーリング層」の組み合わせを複数回繰り返したあと、最終的な結果を出力する。
CNNにはGoogLeNetやMobileNetなど複数の手法があり、ハードの規模や用途によって使い分ける。

高速化と省電力を両立させる2つの技術
精度の高い画像認識を行うには、高性能なCPUやGPUが必要になる。高速で移動するクルマの自動運転では処理速度も重要だ。しかし、高性能なCPUやGPUは単価が高くサイズが大きく消費電力も大きい。
今回の「エッジAIトータルソリューション」では、「軽量エッジAI」と「AIアクセラレータ」を組み合わせることで、CPUやGPUに比べると価格は安く消費電力も少ないが処理能力は低いFPGAで、高速で電力消費の少ない画像認識を可能にした。