アナログ・デバイセズは、車載ネットワークとして低コストかつ高速な 10BASE-T1Sを実装可能なADI E2Bをオートモーティブワールド2023で展示した。
CANやLINといった従来の車載機器ネットワークの代替として、イーサネット規格10BASE-T1Sを従来より低コストで実装可能にする。これによって、車載機器がインターネットに接続しやすくもなる。
10BASE-T1Sとは
10BASE-T1Sは、車載や工場内、野外での使用に適した有線ネットワークの規格で、IEEE802.3cgで標準化された。オフィスや家庭でインターネット接続に利用されてきた10BASE-Tや100BASE-TX、1000BASE-Tなど、IEEE802.3で標準化されたLANの「イーサネット」を車載や産業分野向けに改良したものだ。
既存のイーサネットのソフトウェア技術やインターネット接続との互換性が高いことが特徴となっている。
※IEEE(アイトリプルイー)とは全世界160ヵ国、40万人以上の会員が所属する世界最大のエレクトロニクスの専門組織。ここで世界標準規格が策定される。
10BASE-Tは最大10Mbps、100BASE-TXは100Mbps、1000BASE-Tは1Gbpsに対応しているが、8線4対のツイストペア(より対線=線をより合わせた)ケーブルを使用する。
一方、10BASE-T1Sは2線1対のシングルツイストペアケーブルを使用して10Mbpsの通信を可能にする。
また10BASE-Tから1000BASE-Tまで既存のイーサネットはスイッチングハブによって回線を1対Nに分岐させるスター型の配線となるが、10BASE-T1Sは、1本の線に複数のレシーバーがぶら下がるマルチドロップ型の配線となり、車載機器においては、よりシンプルで低コストな配線が可能になる。

CAN/LINに対する10BASE-T1Sの優位性
現在の自動車の「走る・止まる・曲がる」を実現するエンジンやブレーキ、パワステを始めとして、ドア、エアコンなど多くのパーツにECU(Electronic Control Unit)が搭載され、ECU同士で通信が行われている。