トーヨータイヤのセルビア工場開所式、ヴチッチ大統領が出席

トーヨータイヤ セルビア工場開所式
  • トーヨータイヤ セルビア工場開所式
  • TOYO TIRE株式会社 清水隆史社長
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  • セルビア工場で初めてつくられた「オープンカントリー A/TIII」
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  • セルビア共和国 アレクサンダル・ヴチッチ大統領
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TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は現地時間の1214日、セルビア共和国のインジア市に建設した、自動車用タイヤ生産する新工場の開所式を行った。トーヨータイヤがセルビアに工場を持つのは初めて。

式にはセルビアの代表を務めるアレクサンダル・ヴチッチ大統領が出席。日本から駆けつけたトーヨータイヤ代表の清水隆史社長を筆頭に現地従業員と共に開所を祝したセレモニーを実施した。日本の伝統的な式典形式である、鏡割りやだるまの目入れを行って、ヴチッチ大統領ともに正式稼働を祝しての開所式となった。

◆欧州でのビジネス拡大と北米のバックアップ工場として、セルビア工場を新たに開所

トーヨータイヤ セルビア工場開所式トーヨータイヤ セルビア工場開所式

トーヨータイヤでは売上の9割を占める基幹事業の自動車タイヤ生産を中心に、日本、米国、マレーシア、中国など世界各国に生産拠点の拡大を続けてきた。主にその土地土地に近い工場での生産・販売を続けてきたが、まずは欧州でのビジネスをよりスピーディに展開するためにセルビアに新工場を設立した。

セルビア共和国 アレクサンダル・ヴチッチ大統領セルビア共和国 アレクサンダル・ヴチッチ大統領

同社では2023年度の下半期にかけて年産500万本(乗用車用タイヤ)の確立を目指し、欧州・北米への輸出を中心とした事業展開を想定している。欧州への輸出については、日本やマレーシアからの輸出と比較した場合に約30%のコスト減を実現。さらに今までは欧州の顧客に届けるために平均4.8か月かかっていた製品供給が最短で1週間となるほど、セルビア工場の稼働によって大きく進歩することとなる。 

セルビア工場で初めてつくられた「オープンカントリー A/TIII」セルビア工場で初めてつくられた「オープンカントリー A/TIII」

続いて、欧州だけでなく同社の主力販売地域でもある北米へのバックアップを見据えた工場体制とするのが狙いだ。年産500万本の出荷割合についてはそれぞれ約250万本ずつ欧州・北米の出荷を見込んでいることから、北米への製品展開についてもセルビア工場の稼働でより加速することが想定される。

同工場の開設については2019730日に決定。その後、20201215日に竣工式を開催し、20227月より一部ラインでの稼働を開始した。そして20221214日に開所式を実施、翌2023年の1月下旬~2月上旬には本格的な量産体制に入っていくという。また、同工場はトーヨータイヤのグループ会社である、Toyo Tire Serbia d.o.o.(トーヨータイヤセルビア)によって運営される。同代表を務める井村洋次氏は、マレーシア、中国工場開設のノウハウを活かし、セルビア工場の立ち上げを担当した。

トーヨータイヤ セルビア工場開所式トーヨータイヤ セルビア工場開所式

敷地内には直線距離720m、周回1,690mのテストコースが併設され、欧州で細かく定められた法規路面に対応する試験を実施。欧州規格にいち早く適合させることで、市場のニーズに合った製品をスピーディーに供給できるよう、体制が整えられている。工場横にテストコースを設置することで、積極的な製品評価・生産が一気通貫で対応可能となる。

加えて、テストコース横にはセルビア国内で最大規模の面積となる、発電電力容量8.4MWの太陽光発電システムを設置。年間10.15GWhの発電電力を賄うことで、同7,00トンのCO2削減を見込んでいる。

◆清水社長「ニーズの高い魅力ある商品をスピーディに供給していく」

TOYO TIRE株式会社 清水隆史社長TOYO TIRE株式会社 清水隆史社長

トーヨータイヤのセルビア工場開所式にて、登壇した清水社長は次のように話した。

「今回、当社初の欧州生産拠点として誕生したセルビア工場は、進化していくモビリティ社会に対する事業戦略上、新たな要になるといえます。すでに次世代モビリティへの変革が始まっており、世界に押し寄せる EV 化の波とともに、 タイヤに期待される役割もより難易度が高まってきています。最先端の材料技術によって開発したタイヤをセルビア工場で生産し、工場敷地内に設けたテストコースでの実証試験によって、変化の速いマーケットに対しても、ニーズの高い魅力ある商品をスピーディーに供給していきます」

「また、欧州地域での地産地消を進めることはもちろん、主力のアメリカ市場に向けた戦略的供給拠点としての機能をフルに発揮し、存在価値の高い工場に成長させていく考えです。」とセルビア工場の役割について説明した。

トーヨータイヤ セルビア工場開所式トーヨータイヤ セルビア工場開所式

さらにセルビア工場の新設については「セルビアは国として、質の高い労働力創出プログラムを打ち出しておられます。ヴチッチ大統領からは、当国の将来有望な人材の育成と確保に向けた支援のお話しいただき、早速当社からもセルビア国内の大学や研究機関とコンタクトを取り、当社の技術部門と共同で研究開発を行なうプロジェクトが始動したところです」

「様々な面で大きな意義を持つトーヨータイヤの新工場をこの地に竣工し、事業を稼働させることができるに至ったのは、 ヴチッチ大統領閣下をはじめとする、中央政府、州・市行政の皆様の 当国の経済発展に対する並々ならない情熱に尽きると私は確信しております」と、ヴチッチ大統領をはじめとしてセルビア共和国への感謝の気持ちが述べられた。

翌日15日にメディア向けに行われた記者会見でも、セルビアに対しての魅力、そして欧州・北米でのさらなるビジネス拡大に向けて同社経営陣の並々ならぬ意気込みを感じた。セルビア工場開所によって勢いを拡大する、トーヨータイヤの今後の事業展開に期待したい。

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《後藤竜甫》

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