函館本線の貨物存続、協議を開始か?…鈴木北海道知事「国から検討中という回答」

函館本線・七飯~大沼間の小沼付近を通過するDF200牽引貨物列車。同区間では仁山付近の勾配を避けるため、下り貨物列車は1966年10月に完成した「藤城線」と呼ばれる高架新線を経由。同線は北海道新幹線が開業するまでは下りの旅客優等列車も通過していた。
  • 函館本線・七飯~大沼間の小沼付近を通過するDF200牽引貨物列車。同区間では仁山付近の勾配を避けるため、下り貨物列車は1966年10月に完成した「藤城線」と呼ばれる高架新線を経由。同線は北海道新幹線が開業するまでは下りの旅客優等列車も通過していた。
  • 大沼駅とともに、渡島砂原経由の「砂原回り」と本線経由の「駒ヶ岳回り」が分かれる函館本線・森駅。貨物列車は上りが砂原回り、下りが駒ヶ岳回りで運行されている。

鈴木直道北海道知事は9月13日に開かれた定例会見で、函館本線・函館~長万部間の存廃問題について記者の質問に答えた。

同区間は、長万部~小樽間とともに北海道新幹線の並行在来線とされており、2030年度末に予定されている札幌延伸時にはJR北海道から経営分離されることになっている。

それを受けて、2012年11月からは北海道と経営分離に同意した沿線自治体による北海道新幹線並行在来線対策協議会の渡島ブロック会議が開かれ、経営分離後の扱いについて協議されてきたが、2022年8月31日に開かれた9回目の会議では、函館~新函館北斗間を除いて、鉄道での存続を断念する意見が大勢を占めたという。

しかし、経営分離区間のうち五稜郭~長万部間は本州と北海道を結ぶ鉄道貨物の大動脈であり、仮に鉄道事業廃止ということになれば輸送が寸断されることになり、北海道経済に多大な影響を与える懸念がある。

この点については、5月25日に開かれた北海道の「北海道交通・物流連携会議」において、ホクレン農業協同組合連合会の箱石文祥(はこいしふみよし)代表理事専務が「長万部―函館間というのは北海道の農畜産物の物流の大動脈であり、この線区を維持する必要性、さらにこの線区の維持に必要なことは何かということを、これは北海道あらゆる関係者が協議する必要があり、また加えて国ですとか、消費者にも影響が出ますので働きかけをして展開していくべきであると考えておりますので、また皆さんのご理解をお願いしたいと思います」と述べており、鈴木知事も8月31日の会見では、全国的な貨物ネットワークを維持するべく国が中心となって検討を行ない、地域レベルで協議する渡島ブロック会議とは別に議論を進める必要があるとしていた。

今回の会見で鈴木知事は、貨物の存続へ向けて、国土交通省が北海道、JR貨物、JR北海道と協議をする場を設ける方針を示しているという報道が流れていることについて、国土交通省に確認を求めたことを明らかにしているが、「今後の進め方については現在検討中であるとお伺いしているところであります」と述べる留め、引き続き、国や関係者と連携して対応し、動向を注視していく考えを示した。

大沼駅とともに、渡島砂原経由の「砂原回り」と本線経由の「駒ヶ岳回り」が分かれる函館本線・森駅。貨物列車は上りが砂原回り、下りが駒ヶ岳回りで運行されている。大沼駅とともに、渡島砂原経由の「砂原回り」と本線経由の「駒ヶ岳回り」が分かれる函館本線・森駅。貨物列車は上りが砂原回り、下りが駒ヶ岳回りで運行されている。
《佐藤正樹》

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