【ヤマハ Xフォース】コンセプトは「マスター・オブ・ストリート」!開発者に聞いた「二面性」の魅力とは

ヤマハ Xフォース と開発メンバー
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  • ヤマハ Xフォースのプロジェクトリーダー、望月 幹氏
  • グローバルブランディング統括部コミューターG 宇都宮理沙氏

ヤマハから155ccの新型スクーター『X FORCE ABS』(Xフォース)が登場した。ヤマハには『NMAX』に『マジェスティS』、『トリシティ』と155ccクラスのスクーターが存在するが、他機種とは何が違い、どんなパフォーマンスを持つのか。

開発メンバーに話を聞いた独占インタビューの前編では、そのコンセプトやデザインを中心にお届けしよう。

【インタビュー参加メンバー】
望月 幹:プロジェクトリーダー 主管 CV開発部SC設計G
柳原祐輝:カテゴリープロジェクトリーダー グローバルブランディング統括部コミューターG
勝山祐紀:SC-PT設計G 主事
藤原雅司:第1PT実験部SC-PT実験G 主事
宇都宮理沙:グローバルブランディング統括部コミューターG
逵 由典:車両実験部ブレーキG主務

コンセプトは「Master of Street Scooter」

ヤマハ Xフォースヤマハ Xフォース

----:「X FORCE ABS」(以下、Xフォース)は、このクラスの既存モデルと比較して、かなりスポーティなスタイルが与えられています。まずはコンセプトからお聞かせください。

宇都宮:コンセプトとして掲げたのは、「Master of Street Scooter」です。通勤や通学といった日常において快適性や利便性に優れることはもちろん、モーターサイクルならではの走りの楽しさをどう盛り込むか。それが開発の出発点でした。

----:バーハンドルがそのまま見えるようにマウントされています。こういう構造はスクーターでは少数派で、スポーツバイクらしさが感じられる部分ですね。

グローバルブランディング統括部コミューターG 宇都宮理沙氏グローバルブランディング統括部コミューターG 宇都宮理沙氏

宇都宮:スタイリングに関しては、「ストリートモタード」をキーワードにしています。その名の通り、いわゆるモタードにカテゴライズされるモデルをモチーフにしているわけですが、その象徴のひとつとして、ワイドなフラットハンドルを採用しました。

----:フラットハンドルとスクーターの組み合わせは、ヤマハとしては初でしょうか?

勝山:オフロードテイストのレジャースクーター『BW’S(ビーウィズ)』を台湾で展開しており、このモデルには同様のハンドルが備えられています。

台湾で人気の「スクーター×モタード」

ヤマハ Xフォースヤマハ Xフォース

----:その台湾では、Xフォースがすでに先行して導入され、かなりの人気だと伺っています。

宇都宮:台湾での発売は、2021年10月に始まっています。ユーザーの皆様には、コンセプト通りのスポーティな走りを楽しんで頂いており、1台目というよりは乗り換え需要が多いようです。

望月:それまで台湾では、『フォース」というモデルを展開していました。これもまたスポーツ性を重視した作りだったわけですが、その後継が今回のXフォースです。フルモデルチェンジによって引き上げられたパフォーマンスを日本でも楽しんで頂きたいと考え、今回の導入が決定しました。

ヤマハ Xフォースのプロジェクトリーダー、望月 幹氏ヤマハ Xフォースのプロジェクトリーダー、望月 幹氏

----:台湾でのユーザー層は、どのようなものでしょうか?

柳原:どちらかと言えば、若いお客様が多いですね。リプレイスパーツもかなり出回っていて、街中はもちろん、ワインディングをメインにしたツーリングからサーキットでのスポーツ走行まで幅広くお使い頂いています。

----:モタードというカテゴリー自体も人気なのですか?

逵:台湾はそもそもモータースポーツが盛んな国で、各地で様々なレースが開催されています。スクータークラスはもちろん、モタードクラスの人気も高く、ああいうアグレッシブな走りやスタイルに憧れている方は多いですね。

----:日本での販売計画台数は、年間3000台とリリースにあります。台湾ではどれくらいの見込みでしょうか?

逵:2万台前後になるかと。スクーター自体のマーケットが年間100万台規模に達する中、確固たる個性を発揮できていると考えています。

「二面性」がXフォースの大きな魅力

ヤマハ Xフォースヤマハ Xフォース

----:個性のポイントは、やはりデザインだと思います。ストリートモタードとして、カギになる部分はどういったところでしょうか?

逵:パッケージとしてはスクーターでありながら、モーターサイクルらしさを押し出すことをテーマに開発を進めました。モタードといえば、股下で車体を振り回すようなイメージがあるかと思います。そのためにアイポイントを高くし、ハンドルもシートもフラットにすることによって、ライダーの自由度を確保。リアまわりをスッキリとさせることによって、視覚的にも軽やかな印象を強めています。

フラットなシートが魅力のひとつ、と語る車両実験部ブレーキG主務 逵 由典氏フラットなシートが魅力のひとつ、と語る車両実験部ブレーキG主務 逵 由典氏

宇都宮:フロントとリアで印象を変えているところがポイントです。フロントは荷重に耐えるタフさや力強さを感じて頂けるように、一方のリアは可能な限り装飾を廃し、構造体そのものをデザインに取り入れることによって軽快感や機械感を演出しています。

----:ヤマハは、このクラスのスクーターとして「NMAX155」、「マジェスティS」、「トリシティ155」を国内向けにラインアップしています。それらと比較した時の、Xフォースならではのキャラクターを教えてください。

望月:やはり特徴的なハンドルとシートがもたらすライディングポジションですね。利便性とエキサイティングなハンドリングを両立していますから、その二面性がXフォースの大きな魅力になっています。

ヤマハ Xフォースヤマハ Xフォース

(後編へ続く)

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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