メルセデスベンツの次世代EV、航続1200km超を証明…『ヴィジョンEQXX』が走行テスト

エアコン稼働でも全体的なエネルギー消費への悪影響は最小限

次世代モーターの「eMotors」を開発中

リアのディフューザーは格納式

モーターは最大出力204hp

メルセデスベンツ・ヴィジョン EQXX
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メルセデスベンツは6月23日、次世代EVコンセプト『ヴィジョンEQXX』(Mercedes-Benz Vision EQXX)が14時間30分の走行テストを行い、航続1200km以上を達成した、と発表した。ドイツから英国までの1202kmを、1回の充電で走行している。

◆エアコン稼働でも全体的なエネルギー消費への悪影響は最小限

今回のロードトリップでは、メルセデスベンツの開発部門の本拠地があるドイツ・ジンデルフィンゲンを出発し、フランスを経由し、ユーロトンネルを抜けて、英国のシルバーストン・サーキットを目指した。出発前にフル充電し、充電ソケットに封印を施した。

途中、高速道路と一般道を走行した。平均車速は83km/hだった。エアロダイナミクスを追求して、抗力係数0.17を達成したヴィジョンEQXXは、高速道路を走行する際の電力消費を抑えているという。最も空力的なモードでは、約2%の航続拡大を可能にする。

シルバーストン・サーキットでは、「フォーミュラE」ドライバーのニック・デ・ブリーズ選手が、ヴィジョンEQXXのロードトリップの締めくくりを担当した。同サーキットを、リミッターが作動する最高速140km/hを上限に走行。ヴィジョンEQXXは11周してチェッカーフラッグを受け、ピットレーンでバッテリー残量がゼロになった。

14時間30分をかけて1202kmを走行。平均電力消費量は100km走行あたり8.3kWhだった。今回の走行中、気温は3度から30度まで上昇した。エアコンは8時間以上稼働させたが、全体的なエネルギー消費への悪影響は最小限だったという。

メルセデスベンツ・ヴィジョン EQXXメルセデスベンツ・ヴィジョン EQXX

◆次世代モーターの「eMotors」を開発中

ヴィジョンEQXXは、メルセデスベンツの次世代EV開発におけるエキサイティングな次のステップになる。その目的は、驚異的な効率と航続を備えた次世代EVを開発することにあるという。

ドイツ・シュトゥットガルトに拠点を置くメルセデスベンツの部門を超えたエンジニアリングチームが、EVの航続と効率の限界を押し上げることを目指した。この取り組みには、メルセデスAMGの「HPP(ハイ・パフォーマンス・パワートレイン)」も参画している。

また、メルセデスベンツは、次世代モーターの「eMotors」の開発に、モータースポーツ技術に匹敵する開発スピードを導入した。ヴィジョンEQXXはテクノロジープログラムだが、量産車に早期に搭載されるイノベーションをもたらすことが期待されているという。

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◆リアのディフューザーは格納式

アルビームシルバーで塗装された車体は、水滴のように後方に向かって流れる。リアのディフューザーは格納式で、空気抵抗が増した時に展開する。フロントバンパーには、エアカーテンとエアブリーザーを装着した。ホイールカバーとの組み合わせにより、エアロダイナミクス性能を追求する。抗力係数は0.17。ボンネットの上に冷却空気を導き、必要に応じてシャッターを開く。これにより、ドアミラー周辺の空気抵抗が減少するという。

ローズゴールドのアクセントが施されたグロスブラックグリルの上には、『EQS』を連想させるライトバーが付く。ヘッドライトの内部は2つの星で構成されており、大きい星は光沢のあるセンターレンズの向こう側にロービームとハイビームを収めた。この配置は、フロントバンパーのスターパターンと組み合わせて、将来のメルセデスベンツの市販車のフロントデザインを提示しているという。

ブリヂストンと共同開発されたタイヤは、空力性能を高めるサイドウォールを備えている。20インチの軽量な鍛造マグネシウムホイールには、半透明のダブルスポークデザインのカバーが付く。

◆モーターは最大出力204hp

ヴィジョンEQXXのEVパワートレインは、次世代の炭化ケイ素を使用した電気モーター、トランスミッション、パワーエレクトロニクスで構成されている。パワーエレクトロニクスユニットは、メルセデスAMGのハイパーカー『プロジェクトONE』がベースだ。モーターは最大出力204hpを引き出す。

メルセデスベンツとHPPは、バッテリーの蓄電容量を100kWhと大きくするだけでなく、バッテリーパックを新開発し、およそ400Wh/lのエネルギー密度を実現した。これにより、大容量のバッテリーパックを、ヴィジョンEQXXのコンパクトな車体に搭載することを可能にしたという。バッテリーの単体重量は約495kgに抑えている。

ルーフには117個の太陽電池を搭載した。このシステムは、ヨーロッパ最大の太陽エネルギー研究機関、フラウンホーファーISE(太陽エネルギーシステム研究所)と共同開発された。ソーラーパネルは、航続の拡大にも貢献する。太陽エネルギーは軽量なリチウム電池に蓄えられ、空調、照明、インフォテインメントシステム、その他の電装システムに電力を供給する。メルセデスベンツとパートナーは、太陽光発電を利用して、バッテリーを充電することにも取り組んでいる。


《森脇稔》

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