サブコンとはサブコンピュータのこと。パワーアップチューンのひとつとして古くからチューニングにある手法だが、最近は影が薄かった。しかし、近年再び脚光浴びている。その理由とは!?
◆エンジンはコンピュータで管理されている
ざっくりと40年以上前はキャブレターでエンジンにガソリンと空気の混合気を送り込み、キャブレターのスロットルバルブをアクセルペダルで操作することで加速や減速をしていた。その後、エンジンがコンピュータ制御になり燃料はインジェクターで噴射されるようになり、点火時期もコンピュータで制御されている。
15年ほど前からはスロットルのバルブをアクセルペダルで物理的に操作するのではなく、アクセルを踏み込んだ量をコンピュータ(ECU)が感知して、ドライバーが欲している加速をさせるために電子制御スロットルがモーターによって開く。フライ・バイ・ワイヤやドライブ・バイ・ワイヤと呼ばれる方式になった。コンピュータによって計算されたガソリンを噴射して、プラグもコンピュータからの指示で火花を飛ばしている。それによってより緻密な制御が可能で、近年のクルマの劇的な燃費性能の向上に大きく貢献している。
というわけで、今やクルマはコンピュータによって制御されている。その中でも特に重要なのがECU(エンジン・コントロール・ユニット)。エンジンチューンやパーツ交換をしても、ECU内のプログラムを変更しなければ元の性能しか発揮できないのである。
そこで生まれたのがECU書き換えという手法。ECUの内部データにアクセスして、その中身をチューニング内容に合わせて変更してしまうのだ。
ならば、そのコンピュータごと交換してしまえばいいという発想から生まれたのがフルコン(フルコンピューター)。ECUのユニットごと交換してしまったり、新たにハーネスを引いて制御したり、手間は掛かるが様々な制御ができ、チューニングカーではかなりの支持をされている時代もあった。
しかし、20年ほど前からイモビライザーなどが装備されてから潮目が変わった。それ以前のクルマは極端な話、ハサミでキーシリンダーを強引に回せばエンジンが掛かってしまったが、イモビライザーが搭載されてからはキーとクルマ側の信号が一致しないとエンジンが掛からないようになった。フルコン化するとそういった機能が使えなくなってしまう。ABSや姿勢制御(ESPなど)も多くの場合、純正コンピュータが必要である。
となると、フルコン化はよっぽどサーキットに特化した人でないと使いにくくなってしまった。ならば、先述のECU書き換えをすればいいのである。
しかし、ここで大きな問題が起きた。それは純正ECUのプロテクトが一段と難しくなってきているのである。自動車メーカー側としてはECUデータを書き換えられてしまうと、燃費や排気ガスも規制に通ったものから変わってしまうからである。
◆あえて今、サブコンが注目される意味
そこでサブコンが脚光を浴びている。サブコンはECUのデータを変えるのではなく、擬似信号で変化させるもの。例えばブースト圧を本来より低く見せることで、クルマ側はまだブーストがあげられると判断して、実際のブースト圧をアップさせることができる。
同じようにNA車でも、燃料の量の信号を変化させて、燃調を変えるチューニングができたりする。排気量アップやタービン交換までは対応できないが、ライトチューンには十分に対応できる。また、価格がリーズナブルなのもポイント。10万円以下で手軽にチューニングができる。
これまでサブコンはECU書き換えよりも手軽にパワーアップするための、入門編的なチューニングだった。しかし、現代のECU解析が難しくなっているクルマの場合、いつまで待ってもECU書き換えが可能になるかはわからない。それは解析業者の手腕と資金力に掛かっているので、可能になるかはなんとも言えないのだ。
そんな事情もあり、サブコンによるチューニングしかできないことも増えているのだ。それでも相応のパワーアップは可能だし、適正な範囲内で行えばエンジンの寿命が縮まることもない。
車検時やディーラーに入庫時は外してしまえばノーマル状態に戻すこともできる。そういった意味でも使い勝手のよさがあり、再びサブコンが注目されている。