日産自動車は1日、オンライン入社式を実施。615人の新入社員が、配属先の各事業所や自宅から参加した。式は入社1、2年目の社員を中心とした若手社員8人が企画し、EV「アリア」を通じて、業務の内容を紹介。意見交換も行い、会社への理解を深めた。
オンライン入社式では、配信場所のGHQギャラリーに置かれたアリアを前に、VTRなども使って、入社4年目までの社員が、アリアの開発・製造・販売に携わっているかを紹介。各フェーズを担う若手社員がパネルディスカッションに参加し、生の声を届けた。
主に航続を伸ばすための開発に携わる、R&Dパワートレーン実験部・山野賢志さんは「航続距離はカタログに数値として反映され、責任を感じる」と業務について話し、「アリアはアライアンス初のEVということもあり、フランスと日本の風土の違いに苦労したが、非常にやりがいがある」と語った。工場の自動化などに携わる生産部門生産技術研究開発センター・高橋美樹さんは、「五感を駆使して行う作業をどう自動化するか。とても難しい仕事だが、ワクワクする」と話し、工場の人たちとのコミュニケーションの重要性などについても触れた。
今年のオンライン入社式では、内田誠CEOと新入社員が相互に質問をできる時間が設けられたのも特徴。これは、入社1、2年目の自らもオンライン入社式を経験した世代が、「配信側」と「受ける側」ではなく、一体感を持ったものにしたい、と考えたもの。
新入社員から内田CEOへは、「どんな新入社員でしたか」「日産自動車として目指す姿は」、内田CEOから新入社員へは、「日産への入社の決め手は」「日産でやりたいこと、お客様へ届けたい価値は」という質問が飛んだ。
質問に対して内田CEOは、「多様性の文化が日産の名車を産んできた。マッスルカーのGT-RからエレガントなスポーツカーのフェアレディZ、EVのアリアまで、これだけのラインナップを持っている自動車メーカーは、なかなかない。11年もEVを売っている会社も他にない」とダイバーシティに富んでいること、自由闊達でチャレンジ精神のある風土の会社であることを強調。新入社員時代の多くの失敗を糧に成長したというエピソードから「失敗を恐れず、いろいろなことに興味を持ってチャレンジしてほしい」と激励した。
新入社員の入社の決め手については「電動化とスポーツカーの両立」や「ダイバーシティ」「若手でも活躍できそう」「技術力がある」が上位を占めた。日産で実現したいことには、「技術で他に負けないクルマを開発したい」「EVを開発したい」「シルビアを復活させたい」などのコメントが寄せられた。
横浜市の日産グローバル本社で入社式に出席した新入社員の津村康史郎さんは「自動車鈑金部門の技能五輪金メダルを目指し、技能を高めて、人の手でしか作れないクルマを作りたい」、山下大空さんは「高校ではプログラミングを学び、部活で出場したコンテストでは操縦者の負担を減らすことを考えてプログラミングをしていました。入社後は、電子機器組立の分野で技能五輪を目指したい」などと抱負を語った。