【ゼロカーボン特集】総合的な提案で次世代を開拓…フォルシア・ジャパン 太田有哉代表取締役

クラリオンを買収したことで、現在は4事業部に

フォルシア・ジャパンの役割とは

先を読み切れない時代だからこそ、幅広い提案をしていく

カーボンニュートラルに向けた各企業の取り組みをご紹介するゼロカーボン特集。今回は、次世代モビリティ開発に向けて重要な要素となる部品を幅広く展開しているフォルシア・ジャパンの太田有哉代表取締役にお話を聞いた。

クラリオンを買収したことで、現在は4事業部に

グローバルで幅広い部品を展開しているグローバルで幅広い部品を展開している---:フォルシア・ジャパンは、どのような会社でしょう

太田有哉氏(以下敬称略):仏・フォルシアの100%傘下で、もともとクルマのシートを扱っておりました。当初は「フォルシア・オートモーティブ・シーティング」と「フォルシア・インテリアシステム」に分かれていて、これに排気関連の「フォルシア・エキゾースト」が加わりました。現在はこれに水素が加わり、「フォルシア・クリーンモビリティ」と名称変更しています。

2019年にクラリオンを買収したことで、現在は4事業部の構成ですが「フォルシアクラリオン・エレクトロニクス」は別の組織になっています。売上別ではシーティングの割合が最も大きく、次いでインテリア、クリーンモビリティ続き、クラリオン・エレクトロニクスはまだ新しいので、これからというところです。

フォルシア・ジャパンの役割とは

フォルシア・ジャパン 太田有哉代表取締役フォルシア・ジャパン 太田有哉代表取締役---:フォルシアジャパンの役割はどのようなことでしょう

太田:日系自動車メーカーはグローバルに事業を展開しています。そのため、海外向けの製品でも国内で設計や開発をするものについては当社がサポートします。こうした自動車メーカーへの営業活動のほか、クリーンモビリティ事業では、フォルシア・ジャパンとして初めての製造拠点を郡山に設立します。

こちらでは排気関連部品の生産を行う予定で、需要が増えている排気触媒コンバーターを国内で製造することで、まだ関係が弱い国内自動車メーカーへの提案を加速し、国内での事業拡大を目指します。

---:フォルシア・ジャパンの強みとは?

太田:やはりグローバルで事業を展開をしているという点が評価されています。欧州はもちろん、北米や中国のメーカーとの付き合いがありますので、国や地域の特性を含め、それぞれの市場で何が求められているか、どのような方向性にあるかといった実情も併せて提案することができます。世界的な市場と接点があるからこそ、日系メーカーが海外へ出す製品についても助言できます。

また、ドイツのメーカー「ヘラー」の買収を既に発表していますが、こちらが進むことによって、電気や情報通信といった面にも対応できるようになります。これにより、内装や室内環境に関わるより幅広い分野での開発を進め、当社が掲げている「コクピット・オブ・ザ・フューチャー」を柱とした事業展開をより一層推進していきます。

---:カーボン・ニュートラルへの対応は?

太田:車両重量が低減できれば燃費改善につながります。軽量化の具体例としては、材料の変更をはじめ、板厚を薄くしたり、溶接の仕方を変えるなど多岐にわたります。そこで、シートではスウェーデンの会社と協業によるSSABで材料の購入から製造工程まで化石燃料を使わない取り組みを2026年に向けて進めています。シートにとって最も大切な安全性を損なわず、軽量化することを重視しています。

このほか、内装を含めた表皮に麻を使うことで軽量化と、自然素材の活用によるカーボン・ニュートラルに貢献します。これらの材料を納品していただく企業様も同じ方向にあります。そうした理解のある企業と一緒にやっていくことがカーボン・ニュートラルへのカギとなると考えています。

---:事業運営の面ではどのような取り組みをされていますか。

太田:コロナ禍への対応がカーボン・ニュートラルにつながったという事例があります。リモートの仕事が増えたことで事務所を小さくし、現在の場所も最近引っ越したばかりです。在宅勤務を週に2日から3日に増やすなども考えています。

事務所の必要性が減った分、約130人の社員の個別の机をなくし、70~80人分の誰もが使える机にしました。自分の机ではないので、仕事が済めば明け渡さなければならないため、余分な書類が減り、デジタル化が進みました。机が減った代わりにソファーを設け、打ち合わせで使えるようにしています。事務所の空調の温度管理も当然しています。

事業部としては、エキゾースト事業に水素の扱いも加え、クリーンモビリティ事業部に改めたのも他社に先駆けたことではないかと思っています。

---:具体的な数値目標はありますか。

太田:2030年にカーボン・ニュートラルにすることを目指しています。その前に、2025年までに工場のカーボン・ニュートラルを目指します。工場ではリモートが難しく、通勤する人たちの送迎用バスのCO2削減も実施します。できることからやり、その積み重ねが目標の達成につながると思っています。

先を読み切れない時代だからこそ、幅広い提案をしていく

---:10年後、自動車社会はどのように変化していくと思われますか

太田:カーボン・フリーのクルマになっていく方向性に間違いないでしょう。その過程で、排気対応と水素を両方取り組むなど、どちらへも対応できるようにしていく必要があり、今は事業の運営の難しい時期だと思います。

シートでは、車体の床下にバッテリーを搭載するとなると、従来のままでは天井に頭がつかえてしまいかねず、高さや構造の変更が必要でしょう。スイッチなども、目新しくすればいいというのではなく、従来の知見も活かしながら、何が人にとって好ましいかを吟味しなければなりません。

気掛かりなのは、たとえば水素ステーションがどこまで普及するかは、政府や他業種の考えや取り組みが関わってくるので、先を読み切れないことです。

---:将来を見据えて、CASE分野ではどのような戦略を?

太田:自動車メーカーの要望に合わせていくことになると思います。それに際し、室内関係ではシートやコクピットを含め、またクラリオンが加わったことでの音響も含めた総合的な提案をして行けるのではないかと考えています。自動車メーカーにとって、個別のサプライヤーと折衝し機能をまとめるより、一社との付き合いで総合的な次世代の開拓ができることは利点となるのではないでしょうか。

《御堀直嗣》

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