北海道は4月26日、2030年度末に予定されている北海道新幹線札幌延伸時に経営分離される並行在来線(函館本線函館~小樽)のうち、函館~長万部間の収支見通しを明らかにした。
これは、同日に開かれた「北海道新幹線並行在来線対策協議会」の渡島(おしま)ブロック会議で公表されたもの。同協議会は北海道と沿線自治体から構成されており、長万部駅(北海道長万部町)を境に、北を後志ブロック、南を渡島(おしま)ブロックとして別々に協議されている。
今回、渡島ブロック会議で示された収支見通しは、2015~19年度の輸送密度や2018~60年度の将来推計人口などを基に、全線での鉄道存続、函館~新函館北斗間のみの鉄道存続、全線バス転換という3つの「交通モード」ごとに、分離から30年間分を推計したもので、鉄道での存続は第3セクター方式とされている。
それによると、全線鉄道存続の場合、初期投資に317億3000万円を推計。単年で18億8000万~21億7000万円の赤字が見込まれている。収入は46億~48億9000万円が見込まれているが、五稜郭~長万部間は貨物列車が運行されているため、JR貨物から入る40億円程度の線路使用料が大半を占めることになる。
現在、北海道新幹線のアクセス列車『はこだてライナー』が運行されている函館~新函館北斗間のみ鉄道を存続させた場合は、鉄道部分の初期投資が148億円。単年で9億4000万~11億9000万円の赤字が見込まれている。これにバス転換を想定した新函館北斗~長万部間を加えると、初期投資は160億9000万円。単年で11億5000万~14億2000万円の赤字が見込まれ、赤字額は全線鉄道存続の6割程度まで圧縮される。
全線バス転換の場合は、初期投資が36億6000万円。単年では2億~3億2000万円の赤字となり、全線鉄道存続の1割程度にまで圧縮される。
渡島ブロックでは今後、2回の会議が予定されており、2025年度を目途に存廃を結論づけたいとしている。