JR北海道唯一のSL列車を守れ…『SL冬の湿原号』の車両をリニューアルへ 2021年度から

2000年の初シーズン、塘路~茅沼間を走る『SL冬の湿原号』。2000年3月13日。
  • 2000年の初シーズン、塘路~茅沼間を走る『SL冬の湿原号』。2000年3月13日。
  • 当初の『SL冬の湿原号』は、14系客車とスハシ44 1の前後に展望車代用の車掌車が連結されていた。2000年3月13日。
  • 苗穂工場で、動態復元へ向けて動輪入れ作業が行なわれた時のC11 171。1999年3月30日。
  • C11 171の全般検査やボイラー修繕の様子。全般検査は2013年以来のことで、台枠や台車といった主要部分の摩耗やひび割れなどが発生。ボイラーは、蒸機機関車のボイラー修繕で名高い大阪のアチハへ送られ修繕される。
  • 1999年、リニューアルされた当時の14系車内。シートは簡易リクライニングシートからボックスシートに交換され、ダルマストーブも取り付けられた。
  • 14系の現状。車体外板や座席、トイレ、台車部品などが老朽化。発電用のエンジンは部品を入手できないため丸ごと交換となる。
  • 落成からまもないスハシ44 1の車内。1999年12月。
  • 留萌本線の『SLすずらん号』に使われた時のスハシ44 1。JR北海道では「旧型客車のレトロな雰囲気を損なわないように内装リフレッシュを行います」としている。

JR北海道は2月10日、例年1・2月に運行している釧網本線の『SL冬の湿原号』で運用している車両をリニューアルすると発表した。

『SL冬の湿原号』は2000年1月に運行を開始し、今シーズンもC11形蒸気機関車171号機(C11 171)が4両の客車を牽いて釧路~標茶間で運行されている。

しかし、C11 171は1940年の製造から80年以上、動態復元から20年以上が経過。一方の客車は、大半を占める14系が古いもので製造から50年近くが経過。1980年からは北海道向けの耐寒耐雪タイプに改造され、1981年2月から函館~札幌間の急行「ニセコ」で運用を開始したものの、それからでも40年が経過している。

また、カフェカーとして連結されているスハシ44 1は旧型タイプの客車で、こちらは1952年にスハフ44 2として誕生してから70年近くが経過している。

このような経緯から各車の老朽化が著しく進んでおり、JR北海道では「道内唯一のSL観光列車を守るため」として、C11 171の全般検査やカフェカーの内装リニューアル、14系客車の発電用に使用されているディーゼルエンジンの換装や台車部品の交換を行なうとしている。工事費は全体で4億円を見込んでいる。

これらを2021年度中に行ない、客車については2022年度中も継続して行なうとしているが、運行の中断はされない模様。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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