VWのEVレーサー、F1マシンの最速記録に挑む…10月開催のグッドウッドスピードウィークで

全世界にデジタル配信される「グッドウッドスピードウィーク」

パイクスピーク国際ヒルクライムで8分を切る新記録

ニュルブルクリンク北コースではEV最速記録を樹立

グッドウッドのヒルクライムとサーキットの両方で新記録を目指す

フォルクスワーゲンは9月1日、EVレーシングカーの『ID. R』(Volkswagen ID. R)が、10月に英国で開催される「グッドウッドスピードウィーク」に参加し、1965年にF1マシンが打ち立てたコースレコードに挑戦すると発表した。

全世界にデジタル配信される「グッドウッドスピードウィーク」

毎年恒例の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」は、2020年は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の影響により中止された。その代わりに、企画された新たなイベントが、グッドウッドスピードウィークだ。

グッドウッドスピードウィークは、新型コロナウイルスの感染拡大に配慮して、10月16~18日、無観客で行われる。その様子は、さまざまなパートナーが配信し、世界中で無料視聴できるようにする。

グッドウッドスピードウィークは、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードと、クラシックカーによるレースイベントの「グッドウッドリバイバル」の2つの要素を取り入れ、3日間のイベントにまとめられる予定だ。

パイクスピーク国際ヒルクライムで8分を切る新記録

フォルクスワーゲンは、このグッドウッドスピードウィークに、ID. Rとともに参加する。フォルクスワーゲンは2018年に、1987年以来、31年ぶりにパイクスピーク国際ヒルクライムにワークス体制で参戦した。そのために開発した『ID. Rパイクスピーク』には、モーターを2個搭載し、最大出力680hp、最大トルク66.3kgmを引き出す。カーボンファイバー製のボディは、車両重量が1100kg以下。軽量ボディと高性能モーターの組み合わせが、0~100km/h加速2.25秒の性能を可能にした。

ID. Rパイクスピークには、市販EV同様、リチウムイオンバッテリーを搭載する。バッテリーセルには非常に高い性能を求められた。電力密度は、高電圧を発生する際のシステムで重要な要素になるためだ。市販車とは異なり、モータースポーツでの技術目標は航続ではなく、パイクスピークの頂上を目指すために可能な限り最大の出力を発生することにあった。

必要とされる電気エネルギーの約20%は、パイクスピークのおよそ20kmの走行中に生み出される。ブレーキング時に発電機として作動する電気モーターが、制動エネルギーの一部を電気に変換して、バッテリーに供給する。

このID. Rパイクスピークがパイクスピーク2018の決勝レースにおいて、ロマン・デュマ選手のドライブにより、初めて8分を切る7分57秒148の新記録で優勝した。2013年、セバスチャン・ローブ選手がプジョー『208 T16 パイクスピーク』で打ち立てた8分13秒878のコースレコードを、16秒以上短縮した。また、2016年にリース・ミレン選手が打ち立てたEVによる最速記録、8分57秒118を、1分近く短縮している。

ニュルブルクリンク北コースではEV最速記録を樹立

ID. Rパイクスピークの次なる挑戦が、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおけるEV最速記録だ。そのために開発されたのがID. Rで、ID. Rパイクスピークの進化バージョンだ。ヒルクライムからサーキットへ、走行場所が変わるのに伴い、主にエアロダイナミクス性能を再チューニングした。パイクスピークでは、最大のダウンフォースを得ることに主眼を置いていた。

具体的には、平均車速180km/h以上、最高速270km/h以上に達するニュルブルクリンクに合わせて、F1マシンの「DRS」(抗力減少システム)を導入した新しい空力パッケージを開発した。さらに、電動パワートレインのエネルギー管理を最適化。2つの電気モーターの出力制御とブレーキ時のエネルギー回収の制御を見直した。

このID. Rが2019年6月、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、タイムアタックを実施した。再び、ロマン・デュマ選手のドライブにより、6分05秒336のラップタイムを計測。NIO EP9の6分45秒900を40秒以上短縮し、ID. Rがニュルブルクリンク最速EVの称号を獲得している。

グッドウッドのヒルクライムとサーキットの両方で新記録を目指す

さらにフォルクスワーゲンは、前回のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2019において、このID. Rのスペシャル軽量バージョンを初公開し、グッドウッド名物の全長1.86kmのヒルクライムに出走した。目標は1999年にF1マシンが打ち立てた記録の更新だ。

1999年、ニック・ハイドフェルド選手がマクラーレンメルセデスのF1マシン「MP4/13」(最大出力780psの自然吸気V10エンジンを搭載)を操り、グッドウッドの丘を41.6秒で駆け上がった。その後、安全上の理由から、F1マシンによるグッドウッドのヒルクライムでのタイム計測が中止されたこともあり、この最速記録は20年間、破られていない。

ID. Rのスペシャル軽量バージョンでは、リチウムイオンバッテリーのサイズを小型化するなどの変更により、さらなる軽量化を追求した。ドライバー込みで、車両重量は1000kgを切る。また、エネルギーマネジメントの最適化も図られている。

このID. Rのスペシャル軽量バージョンが、グッドウッド名物のヒルクライムに出走した。ドライバーには、再びロマン・デュマ選手が起用され、39.9秒のタイムを計測した。1999年のF1マシンの記録を1.7秒短縮する新記録で、ID. Rがグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの歴史に、新たな1章を刻んでいる。

フォルクスワーゲンは、今年のグッドウッドスピードウィークにおいて、ID. Rで新たな記録に挑む。それは、「グッドウッドモーターサーキット」でのラップタイム記録の更新だ。現在のコースレコードは、1965年に打ち立てられた。当時現役のF1ドライバーのジャッキー・スチュワートとジム・クラークが同タイム1分20秒4を記録した。フォルクスワーゲンは、今年のグッドウッドスピードウィークにID. Rで参加し、この記録の更新に挑戦する。

フォルクスワーゲンによると、すでにグッドウッドのヒルクライムで歴代最速記録を保持しているID.Rが、グッドウッドスピードウィーク中に新記録を樹立した場合、それは両方のグッドウッドトラック(グッドウッドヒルとグッドウッドモーターサーキット)で最速の車を意味する、としている。

《森脇稔》

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