【ダイハツ ロッキー 新型】自社開発の4WD制御は「安心感に自信あり」[インタビュー]

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  • ダイハツ ロッキー(左)とトヨタ ライズ(右)

ダイハツ『ロッキー』の4WD制御はダイハツ社内で開発されたものだ。通常はトランスミッションメーカーで開発されたものを購入するが、あえてその方法を取らなかったのはなぜか。

システムの開発を担当したダイハツパワートレーン開発本部パワートレーン制御開発部制御統括室主任の西浦隆夫氏に話を聞いた。

4WD制御はロッキーのウリのひとつ

ダイハツロッキー(とトヨタ『ライズ』)に搭載されている4WDシステム、ダイナミックトルクコントロール4WDは、前輪駆動状態と四輪駆動状態を自動的に電子制御。発進時や滑りやすい路面の走行時には、車両の状態に合わせて最適なトルクを後輪に配分。通常走行時には後輪の駆動トルクを下げ、前輪駆動状態で燃費の良い走りを実現する。また、旋回時の滑りやすい路面に対しては、トルクを後輪に配分するとともに、旋回内輪へのブレーキ制御との協調制御により、安定した旋回を実現している。

----:このように非常に凝った4WDシステムを搭載しているロッキーですが、あまりアピールはされていませんね。ただし、SUVスタイルを纏ったこのクルマにとって、このシステムはかなりの強みになるのではないでしょうか。

西浦隆夫氏(以下敬称略):そうなるでしょうね。我々もウリのひとつだと思っているのですが、実際に販売の現場がどのように考えているかはまた別になるでしょう。

ただし、『トール』や『ブーン』などに比べると販売比率的には当然高くなると思っています。雪道も電子制御により、よりトルクの立ち上げも早くしっかりさせていますので、スリップも少なくなっています。

----:販売比率は3分の1くらいとのことですね。従来のダイハツ車であれば二駆と四駆との価格差は15万円とのことですが、今回は他社並みの価格設定で+20万円です。

西浦:ダイハツは軽自動車がメインのメーカーですから、ユーザーは価格にシビアです。どこまで比率を上げていけるかですね。

よりきめ細かく制御するために自社開発

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----:前後のトルク配分はどのくらいまで可能ですか。

西浦:前50:後50から、滑っていない時は前10:後0まで可能です。

----:四駆の開発はどのようなものだったのでしょう。

西浦:電制カップリングを採用しています。そのカップリングは『ヴィッツ』などでも使われていたジェイテクトのITCC(4WD車用電子制御カップリング)というもので、信頼性もありコストも安いものです。

通常ですとこのカップリングを購入する時に、ECUの制御ソフトもセットにするのですが、コストがかかるということと、開発の中で(ジェイテクトとの)やり取りによる期間も多くなってしまいます。また、細かい設定も基本ロジックが決まっていますので、あまりメーカー側の要望や色を出せないこともありました。

そこでECUの制御ソフトはダイハツ社内でゼロから開発したのです。これまでいろいろなメーカーがカップリングを購入していますが、ECUの自社開発は初になると思いますし、メーカー独自で四駆制御を持っているのはダイハツだけでしょう。これによって、雪道で少し後ろにトルクを流すとか、坂道でGを見てちょっとだけトルクをリアに流すなどの細かい制御全てがコントロール可能となったのです。

----:フルパッケージで買ってきたものはそこまで出来ないのですか。

西浦:出来ません。基本的な使い方の考えがジェイテクトにありますので、それに則った上でちょっとこうしたいという要望を出して変更してもらうというやり取りになるのです。今回はそれを全部止めて自分のところで一手に引き受けて仕上げていきました。

それが出来たのは、私が元々CVTの駆動制御をやっていたこともあるでしょう。ダイハツはCVTのハードも制御も内製していますので、うちでも制御が作れるということで引き受けました。

主張せず安心感のある四駆制御

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----:今回自社開発にあたって目指したのは、どういう四駆制御だったのですか。

西浦:四駆制御があまり主張し過ぎるとクルマの走行姿勢も変えてしまいますので、あくまでも裏方に徹するものです。そうしながらも特に気づかないうちに安心感が出るようなクルマを目指しました。ですから、通常の電子制御のクルマではメーター内のインジケーターをつけませんが、これをあえてつけて雨や雪道で作動したら早めに点灯させるようにしました。そうするとドライバーは四駆が作動していることを認識して安心してもらえるでしょう。

また定常走行している時は前輪にしかインジケーターがつきませんので、今はFFで燃費がいいのだなというインフォメーションも出しています。そういう安心して乗れる四駆を作りたかったのです。

----:今回は前後のトルク配分だけでなく左右制御も行っていますか。

西浦:それは出来ません。左右のトルク配分も採用すると、カップリングをデフの辺りに2個つけなければいけませんので、スペース的にもコスト的にも掛かってしまいます。そこで、まずは前後だけでやってみて、好評であれば次の展開では色々とやってみたいと思っています。

CVTの制御はだいたい8mm/secくらいで、それと同じ周期で四駆も制御させています。これまでのビスカスなどの機械式ですと、滑って四駆になってという時間のロスがコンマ何秒、あるいは何秒単位で出てしまいます。そこを最小制御単位で路面のミューを計算しながら制御するようにしていますので、かなり細かい制御が出来ています。

滑る範囲も、つるっと滑ってからでは危ないので、微小スリップを検知しながらちょっとでもずるっといった瞬間にリアにトルクを流すようにしています。

----:雪道など路面状況を判定することは?

はい、雪道判定もしています。外気温も見ていますので、滑って、気温が低くて、冬で、まだ滑るぞとなったらこれは雪だと判断し、ずっと四駆を維持するようなセッティングにしています。通常のITCC(4WD車用電子制御カップリング)を使っているものでも同様の制御はありますが、一度発進で滑ったとしても、次に止まったらまた二駆に戻ってしまうのです。それをせずに、一度エンジンをかけて走り始めて滑ったら、次に到着するまでは基本四駆を維持します。

こういったことは、冬の北海道や北陸などどんな路面でも安心して走れるように、かなり走り込んで制御ロジックを検討していきました。

CVTもワイドレンジ化。制御でラバーフィールも減少

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----:今回のCVTはとてもスムーズで、違和感なく乗ることが出来ますね。

西浦:通常CVTですと、エンジン回転先行でラバーフィーリングとよくいわれる現象が出ます。ちょっとずつは直しているのですがやはり限界があって…。そこで今回はCVTを一新しました。変速のさせ方やそのスピードの全てにおいて新たに制御を見直しました。具体的にはよりギアを固定出来るように、車速の上がりと回転の上がりとをリニア感が出るような設定にしています。

CVTも変速比をワイドレンジに出来ました。今まで燃費を稼ごうと思うとギアはハイ側にしますので、そうすると発進がダメになりますし、発進を良くしようとすると燃費がダメになるなどでしたが、今回はワイドレンジに出来ましたので両方カバーが出来るようになりました。そういった面でも良いCVTが出来たと思っています。

----:そういう制御ですと、雪道ではどの辺りにCVTのレンジを持ってくるといいのですか。

西浦:雪道だとあまりローにしすぎるとよりスリップを強調してしまいますので、滑った時点でCVTのギア変速を抑制させます。そして四駆に固定。その制御で駆動力もある程度安定させた状態で走らせるようにしています。これらは協調制御が出来ていますので、そういうところも強みといえるでしょう。

----:それは西浦さんが両方やっていたからこそ協調制御が出来たのですか。

西浦:そうだと思います。通常四駆の制御は難しいのです。特に各メーカーによって担当する部署が違い、操安関係の部署ということもあります。しかし、ダイハツは駆動系の部署が担当しており、駆動力をどれだけきちんと制御するかに主眼を置いて開発していますので、そこには自信があります。

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《内田俊一》

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