「自動走行ロボット」社会実装の課題と公道実用化に向けて…経済産業省 物流企画室 室長補佐 松田圭介氏[インタビュー]

「自動走行ロボット」社会実装の課題と公道実用化に向けて…経済産業省 物流企画室 室長補佐 松田圭介氏[インタビュー]
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国内の自動走行ロボットの動きについて、経済産業省 商務・サービスグループ 物流企画室室長補佐の松田圭介氏に聞いた。

松田氏は、 2月18日開催セミナー「MaaS×物流」の最前線に登壇し、物のラストワンマイルモビリティについて講演する。

種類は「自律走行型」と「自動追従型」

---:物流業界の課題とラスワンマイル自動走行ロボットはどのような整理ですか?

松田氏:日本の物流業界における課題は人手不足と高齢化です。人手がかかるラストマイルで自動走行ロボットの社会実装に対して期待が高まっています。

自動走行ロボットの種類は、大きく分けて2つ。カメラ画像やGPS情報などをもとに周辺状況を認識して、自律的に目的地などへ移動する「自律走行型」(メーカーはZMP、Hakobot、Starship、Robby、Marbleなど)、人をセンサーで認識して、追従しながら移動する「自動追従型」(メーカーはDoog、中西金属工業など)があります。

日本の市場価値を落とさないために

松田氏:実は自動走行ロボットは、新しい分野です。

4年に1度改定される総合物流施策大綱の2017年度から2020年度版は物流業界の人手不足、高齢化などを背景に策定され、「強い物流」「革命的に変化する」「繋がる」「支える」「見える」「備える」「育てる」の6つの視点から取組みを推進することが書かれていますが、ドローンの活用が「革命的に変改する」にあるものの、ラストワンマイルの自動走行ロボットには触れられていませんでした。

自動走行ロボットはここ最近の新しい動きで、エストニアやアメリカで社会実装が始まったため、日本国内でも関心が高まりました。

---:自動走行ロボットは最近の動きで、海外に影響を受けて整理がはじまったのですね。

松田氏;国内外のメーカーなどから、日本に市場価値がないと思われるとラストマイルの自動走行ロボットの活用が遅れ、日本の産業や生活への支障も懸念されます。参入企業数が少なければ、競争原理が働かず、高い価格で供給されてしまえば、消費者にとって満足できないサービスとなることも考えられます。

日本の市場としての価値を下げないためにも、日本でもラストワンマイルの自動走行ロボットの社会実装に向け検討が進んでいるというメッセージを出していく必要があると考えています。

2019年度内に公道での実証のための法整備を整える

松田氏:そこで自動走行ロボットの配送における活用に向けたインフラ整備が最短距離で実現を目指して、2019年度に「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」を立ち上げました。

メンバーには運送事業者(セイノーホールディングス、日本郵便、ヤマト)、サービスを担う事業者(楽天)、広大な敷地内でのサービスとしての活用が想定されますのでディベロッパー(三菱地所、森ビル)、ロボット供給者(ZMP、Hakobot、パナソニック、本田技研工業)、システムインテグレーター(TIS、ロボコム)、自治体(千葉市、つくば市、福岡市、東京都)に入っていただいています。

公道での実用化の明確なタイムスケジュールはこれからになりますが、成長戦略では、2019年度内に道路使用許可の申請に対する取扱い基準を策定するなどして”実証のための枠組みの構築”を行い、自動走行ロボットの公道での実証を実現することがうたわれています。

自動走行ロボットが活用され、営業所から自宅や指定地点までの配送が行われ、さらに集荷や異なる事業者の荷物を同一のロボットで配送する自動走行ロボットのインフラ化されることをイメージしています。

人手不足の解消、道路上に路駐する配達用のトラックやバイクの削減など交通環境の向上、生産性の向上、場所や時間を消費者が自由に選べる消費者利得の向上に資すると考えています。

課題は「安全性」「交通弱者への配慮」「マップ整備」「事故時の法的責任」

松田氏:社会実装の課題は、ハードとソフトの安全性の確保と役割分担、歩道を歩く子ども・高齢者、障がい者などと共存するインフラとして活用されるための社会受容性の向上などの措置や検討、協調領域としてマップなどのインフラ整備、事故などの法的責任の整理などが挙げられます。

直近は公道での実証実験のための環境整備を進め、今後は、どこで、どのように使われるのか、いわゆるユースケースの実証を公道などで行い、公道で実用化できるように法律や環境を整備していく必要があります。

そのために、ユースケースの確定やロードマップの策定を行う「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」、事業化に向けたユースケースの明確化、ロボットの仕様に関する安全性評価やロボットの安全な運用に係る検討、必要となる実証データの項目整理を行う「自動走行ロボットによる配送実現のためのWG」の2つを互いに連携させながら検討を進めていく予定になっています。

---:自動走行ロボットの価格次第ですが、一家に1台、マンションで共同購入する可能性もあり、人流よりも柔軟なビジネスモデルが描けそうですね。東京の都心部では人が多く、人手も確保しやすいため人が配達するのかもしれませんから、むしろ自動走行ロボットは郊外の方が向いている可能性があります。

松田氏:夜間に動くことも考えられますし、スマートフォンなどが普及しているので、いつ届くのかスマホに知らせることもできるでしょう。

松田氏が登壇する 2月18日開催セミナー「MaaS×物流」の最前線はこちら。

《楠田悦子》

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